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三水会 講演レポート#5
(7月30日開催)

2024年09月20日

 三水会とは40年超、月例で活動を続けている講演・懇親会です。講師は様々な分野で活躍されているソフィアン。どこで、誰が、どんな活躍、取り組みをしているかをご紹介しネットワークを繋げていこうというのがミッションです。三水会での講演内容をレポートさせていただきます。


2024年7月30日(火)開催の三水会のレポートです。@ソフィアンズクラブ

 会社経営におけるESGやSDGsといった取組みをよく耳にするようになりましたサステナビリティや環境問題への企業取組みが問われています。企業の取組みは大企業が中心で中小の企業ではまだまだということもあるかもしれません。一方で若い人たちの関心は高く、就活での企業選択の要素にもなりつつあるようです。
 今回はこうした想いをどのようにビジネスとして育むかにチャレンジして起業したソフィアンの活動を学びたいと思います。


◇講演者ご紹介

堀澤憲己(かずき)様(2016年上智大学法学部法律学科卒業)株式会社ミラサス代表取締役。新卒でインターネット広告の営業を経験後、人材系のスタートアップ企業でマーケティング責任者として従事。2023年に株式会社ミラサス代表取締役に就任し、SDGs・サステナビリティ分野特化のwebメディアの運営および、企業のサステナビリティに関する広報PR・プロモーション、若手人材の採用支援などを行っておられます。大学在籍時は体育会ゴルフ部所属でした。

  

◇テーマ 「誰一人取り残さない持続可能な未来に向けて
                ~サステナビリティを軸にビジネスを進める」

 堀澤さんは学生時代にはSDGsといった領域にはさして関心がなかったとおっしゃいます。卒業後はインターネット広告企業や人材系スタートアップ企業を経て、2023年に株式会社ミラサス代表取締役に就任します。社会で仕事をする中で感じる社会課題にどう関わればいいのかを考え始めたことが原点です。ミラサスはSDGsやサステナビリティへの社会の関心が高まる一方でこれを扱うメディアがあまり多くない状況から必要性を感じ「SDGs特化メディア」としてスタートを切りました。SDGsを進めようとする企業も模索しているところが多く、この領域での専門サイトの発信に注目が集まったこと、大学生含め若い人達の想いと企業をどう結びつけるかという活動が注目を集めました。
創業時は大手企業のSDGs活動の紹介からスタート。各企業が自社媒体だけでの広報不足が課題となる中、ミラサスが各社のSDGs関連のニュースリリースを随時紹介、また、独自取材を行うことで各企業の商品を使う顧客や学生・若者への架け橋になりました。


若い人達の関心を集める
 Webで発信を始めると1年と経ないうちに月間で約20万人の閲覧という反応で特に20代から30代にかけての若い層から反応を得ました。SDGsのメディアにミレニアム世代、Z世代が高い関心を示しています。
 こうした現象は若い世代の感性の変化が大きいといいます。大量生産、大量消費と行った消費行動ではなく自分の価値感にあったものを選択する思考に大きく変わりつつあります。安くていい物を!という消費行動には世界のどこかで安い賃金で働かされている人々が存在する、誰かの犠牲を伴っているという構造があり、そうした在り方は正しいのだろうかという視点です。そして高級ブランド指向ではなく「納得感」、「共感」を感じられる商品を選ぶといった消費へ意識が大きく変わってきました。それに伴ってマーケティングの在り方も変わり、そこでマーケティングとSDGs、サステナビリティとの結びつきが必要になってきます。
 事業成長による利益の社会還元から、事業成長のために社会還元が必要不可欠という考え方に変わるパラダイムシフトが起きているのです。

 堀澤さんがサステナビリティでの企業の取り組み例を紹介して下さいました。
例えば「救缶鳥プロジェクト」これは災害時用に備蓄したパンの缶詰を賞味期限の1年前に回収し、紛争地域や貧困国へNPO法人経由で届けるといったプロジェクトです。また、年間1億枚が焼却処分される寝具(リサイクル率はたった2%)を回収・再生するサービスを始めた企業などなど。決して大企業でなくても無駄をなくすだけではなく、それを活かすサービスを創ることでSDGsをビジネスとして具体的に進めることができるのです。


日本はそもそもSDGsの国
 日本はプラスティック製品の削減意識が低いと言われています。一方で日本は昔ながらのSDGsを体現してきた国ということで海外から注目を集めている側面もあるそうです。堀澤さんが紹介したのは「和蝋燭(わろうそく)」。植物由来の原料でつくる和蝋燭は石油由来の欧米のものとは違って完全循環型で、余分な添加物がないため自然に還ることもできると、実は日本よりも海外のメディアが高い注目と関心を持って取材しているとのこと。江戸時代の生活は無駄なく使い切る、循環型の環境に優しい生活をしていたことを思い出したいところです。

  

コミュニティ運営
 話は変わりますがミラサスの取組みに社会課題を扱う大学学生団体が集うコミュニティ運営があります。社会問題の解決に向けた学生団体のボランティアを中心とする活動は上智はじめ各大学でも多数存在しますが、活動の発信機会としてはどの団体も自分たちのSNSにとどまります。大きなメディアに取り上げられることもありません。しかし、若者や学生のこういった活動は世の中や社会に発信すべきであり、その役割は情報メディアの使命でもあります。そうした考えから約100の学生団体を今まで取材してきたそうです。そしてこれは発信だけにとどまらず、学生同士の横の連携や企業とのコラボイベントという形でのコミュニティ運営も行っています。社会課題の解決を軸に、いわば学生と企業による共創を創出できないか、そのためには学生による企業への提案や、企業から学生への接点づくりなど、機会創出が必要といいます。これを推進する中で、例えば、2030年SDGs達成に向けての5カ年計画を考える「学生団体プレゼンアワード」を計画しているということでした。同時にこうした学生団体の活動を社会や大人がもっと応援し、学生と企業が共に連携し、社会問題の解決に向けた取組みに対して、どのように持続性を持たせられるかといった点が今後の課題とおっしゃっていました。

     

最後に(幹事から)
 長年、企業に身を置いていた者としてはこうしたSDGs特化メディアというコンセプトのイメージがはじめは掴みきれませんでしたが、堀澤さんのお話を聞いていくにつれて、これは時代の変化で、これからの若い人々のこだわり、感性にそくした新しい取組みなのだということが腑に落ちました。単に企業が世界の趨勢としてのSDGsを標榜するのではなく、地に着いた生き方としてのSDGsを身につけることが大事だとの思いを強くしました。同時に「もったいない」が国際語になったように日本の美徳であった「昔ながらのSDGsの国」も大事にしていきたいものです。


文責:三水会幹事 黒水則顯(1978文新)


株式会社ミラサスの詳しい活動はこちらのホームページからどうぞ。

  

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