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三水会 講演レポート#4
(6月13日開催)

2024年07月19日

三水会幹事:黒水則顯 佐藤光利

 三水会とは40年超、月例で活動を続けている講演・懇親会です。講師は様々な分野で活躍されているソフィアン。どこで、誰が、どんな活躍、取り組みをしているかをご紹介しネットワークを繋げていこうというのがミッションです。三水会での講演内容をレポートさせていただきます。


2024年6月13日(木)開催の三水会のレポートです。@ソフィアンズクラブ

 今回のゲストスピーカーはアフリカ南東に位置する日本と国交のあるマラウイ共和国の子ども達にマラウイ産のコーヒーを寄付販売することで学校給食を届ける事業を推進している「NPO法人聖母」理事長でありソフィア会社会貢献委員会で活動をされている山田真人(まこと)さんです。


◇講演者ご紹介

 山田 真人(まこと)様(2015年上智大学英文学科卒、2017年神学科卒)
 NPO法人聖母理事長。NPO法人聖母の設立当初から活動、今年で9年目を迎えています。また、ソフィア会社会貢献推進委員会委員として国際貢献活動を担っていらっしゃいます。


◇テーマ 「世界の貧困を改善する架け橋になりたい
                ~学校給食で子どもたちの未来を作る」

 NPO法人聖母は「おなかを減らしているすべての子どもに給食を!」という長期目標を掲げ、日本を拠点として給食支援を国際的に実施する特定非営利活動法人です。同NPOはアフリカのマラウイの学校給食支援で現地のスタッフとともに、幼稚園、小学校の給食を提供しています。これを実現するために数多くの学校法人や企業・団体からフェアトレードのコーヒーをベースに寄付をいただき、売上げを現地に送り届けています。
  その中心で活動されている山田真人さんにNPO活動に参画の経緯、NPOの理念、実際の取り組みと拡がりのお話を伺いました。
せいぼじゃぱんのサイトはこちら

◇はじまり~繋がりと出会い、「Doing Charity by Doing Business」
 山田さんの話にはよく、「繋がり」というキーワードと英語の「Doing Charity by Doing Business」というスローガンが出てきます。遠いアフリカの地での給食支援取組みはどのようなキッカケではじまったのでしょうか?

 山田さんは聖母病院で生まれたとのこと。上智に入る前の中学・高校時代から聖書に親しみ、神父さんになろうと思っていたとお聞きしました。そうした想いで英文科を卒業されて3年編入で神学科に進むことになり、さらに今の活動に繋がっています。当時の聖書は書き込みだらけ!聖書を学ぶ中でTypologyと聖書学に興味を持ち実践神学を求めてある修道院に入るなどカトリック信者としての行動力を感じます。

 山田さんは2017年、神学科を卒業、それと前後してMobellという外資の通信事業社に(2016年)入社します。そのキッカケは在学中の大学で開催された「ハロウィンナイト」。ここで講演していた人の勤務する会社、Mobellを訪れた際にTony Smith社長と出会います。ここでトニー氏からマラウイの話を初めて聞くのですが、その中で「Doing Charity by Doing Business」という言葉に出会い、2ヶ月後に入社。Mobellという会社は会社の売上げの大部分をチャリティに回すというチャレンジングな会社方針を持っており、マラウイを支援していました。

 山田さんはMobell日本法人マーケティング&セールス部門で海外からの訪日客、一時帰国の日本人向けにSIMカードの営業に邁進します。Mobellという会社は通信事業の理念として"You don't just travel the world, You make it a better place." という言葉を掲げています。
Mobell社:会社概要 海外携帯電話・SIMカードのモベル (mobell.co.jp)


◇マウライとの出会いと給食支援
 マラウイへはJICAが2011年から岩手の遠野の町おこし目的で米粉を送っていたのですが2015年にはそのプロジェクトが終了。その年にマラウイでは歴史的な大洪水が起き、大きな被害が出ました。それまで「ビーハイブ」という職業訓練センターの立ち上げと運営をおこなっていたMobellが給食支援事業をスタートさせます。
 その訓練センターの責任者がサワコ・ネビンという日本人女性と知り合い、彼女の卒業した日本の高校の名前にあった「せいぼ」という言葉を知り、給食支援の「Seibo」に繋がりました。そして、その翌年にNPOせいぼじゃぱんが生まれ、日本起点の支援活動もスタートします。


 マラウイ共和国は南アフリカの内陸、タンザニアと国境を接し、大きな湖が国土のかなりの面積を占めています。かつてはマラウイ帝国でしたがイギリス保護領になり1964年独立、マラウイ共和国となりました。人口は2041万人。日本からNEC、IBMのような日本企業、JICA派遣者も多い国です。世界最貧国ですがお互いに分かち合う文化を持っています。
 一方で子どもが多く、貧困による食料難、幼い頃の極度の栄養失調が原因で子どもが健康に育ち、国を支える大人になれないという大きな問題を抱えています。7割弱が25歳未満という人口構造です。乳幼児が順調に成長しないと社会構造やビジネスの変化が生まれないのです。給食支援をすることで子ども達が学校で勉強する機会が増える、学習を続けることで国を支える人材になっていく、そうした試みです。
子どもセンターを作り、ここに給食を届けることでこの支援は始まりました。一人当たり、年に3000円あれば1食15円、年200日、給食を届けることができるのです。給食はトウモロコシの粉を溶かした飲み物です。大人数なので朝7:30からと昼の2部制で運営しています。これによって子ども達の学校への出席率が上がり、中学進学が推進され、そこで技術の習得も進み人材を育成できるのです。
 企業のSDGsは目の前のことへの取組みですが、NPOはもっと長期の「育成」視点での支援・関わりを続けていく必要があります。それ故、NPOせいぼじゃぱんのミッションステートメントは「おなかを減らしているすべての子どもに給食を!」ということになります。

◇給食支援に繋がるビジネスとしてのコーヒー事業
 マラウイは農業国で特産はたばこやマカデミア、輸出用のコーヒーなどです。このコーヒーは日本だけでなく世界の名だたるコーヒー事業者に使われる非常に高い品質の美味しいコーヒーです。せいぼじゃぱんではこのコーヒーを販売し賛同企業の支援を得て、利益の大半をマラウイの給食支援に送っています。ビジネスの仕組みはMobell社以外に貿易商社の協力を得てWARM HEARTS COFFEEというブランドを通して寄付販売(通販含む)をしています。 詳細はこちらより

 また、この寄付販売はいくつかのカトリック系学校からフェアトレード、教育コンテンツとして取り上げられ、各学校で生徒、学生達がその輪を拡げてくれています。山田さんはソフィア会社会貢献委員会の活動の一部としてマラウイ支援のコーヒー事業を推進し、5月のASF2024でもマラウイコーヒーの販売を行いましたが、そこには関わってくれている中学・高校生も参加してくれました。

 こうした活動は社会につなげ、拡げていくことが大事です。それを支えてきたのはソフィアでの様々な体験から学んできたことだと山田さんは語ります。ソフィアでリベラルアーツを学ぶことで他者のために何かをする、何かを与える、そうした繋がりをつくリ続けたいという想いです。


◇これからの取組み
 今後、マラウイの土地を取得しトウモロコシを育成、給食につなげる計画を立てています。現地で生産した食材で給食支援を回していく、そうした循環を造り出すことができれば、よりマウライのサポートになると思うからです。
また、今年5月、これまでのMobell等の賛同企業が経費を負担し支えてもらう関係を一部見直し、独立しました。特定非営利活動法人、いわゆるNPOから認定NPO法人として活動していくことにしたのです。これまでの企業に100%近く支えられた形から人件費、税金などにもしっかり対応し、より大きな支援が可能になるようにチャレンジが始まっています。


最後に:お話を聞いて~
ご紹介した山田さんの活動はまさにソフィアの建学精神そのものといっていいのではないでしょうか?こうした考え、行動を実際の社会の中で具現化し、継続し拡げていくことが、SDGsといった言葉だけにとどまらない変革力を生み出していくのではないかと感銘を受けました。同時に発展途上国の共通課題でもあるこうした問題に私たちはどう向き合うかを考える大きなキッカケを与えていただきました。ソフィアンのソフィアンたる建学精神に日々立ち返り、山田さんの活動を応援したいと思います!
そして、マラウイコーヒー、是非、お試し下さい!本当に味わい深いコーヒーです。 

以上
文責:三水会幹事 黒水 則顯(1978文新)

  
  

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