参加者

二十一名

兼題

冬暖か、冬ぬくし　三句出句七句選

根来久美子　選

(特選)

褒め合ひて路地の鉢花冬ぬくし

幸子

切干に閉ぢ込められし陽の甘さ

幸子

沈黙も言葉のひとつ石蕗の花

都代子

路地裏に洩るる芝浜冬ぬくし

榮

ペンキ屋の親子のつなぎ冬ぬくし

陽花

(並選)

空濠の底の日溜冬ぬくし

海村

稜線の際だつて来て冬に入る

海村

縁側に絵本読む児や冬ぬくし

占爐

幼児に話しかけらる小六月

克

冴ゆる夜や宇宙に響く非常ベル

怜子

白鳥の光ひとすぢ北北西

陽花

かさかさとさくさくと谷戸冬ぬくし

都代子

冬ぬくし神父を囲む輪の中へ

知子

初孫を抱き上ぐ匂ひ冬ぬくし

剛

冬ぬくし校門前の丸ポスト

明子

実南天ついばむ鳥の眼も円し

扇冶

畔柳海村　選

(特選)

路地裏に洩るる芝浜冬ぬくし

榮

沈黙も言葉のひとつ石蕗の花

都代子

冬ぬくし校門前の丸ポスト

明子

(並選)

果たさざる想ひともども熊手抱く

扇冶

三島忌や朝の素振りを百八回

洋

辛うじて喜寿越えてありぬくき冬

洋

会へぬまま友の訃報や冬北斗

克

山の音秘めてまろべる朴落葉

都代子

腑に落ちぬ事ばかり増え木の葉髪

弥生

初孫を抱き上ぐ匂ひ冬ぬくし

剛

吉迫まあり選

(特選)

三島忌や朝の素振りを百八回

洋

切干に閉ぢ込められし陽の甘さ

幸子

ペンキ屋の親子のつなぎ冬ぬくし

陽花

(並選)

冬ぬくし抹茶の泡のうすみどり

陽花

白鳥の光ひとすぢ北北西

陽花

冴ゆる夜や宇宙に響く非常ベル

怜子

師の健勝伝へる葉書冬ぬくし

怜子

冬あたたかつんのめつて鳩追つて

ちあき

冬ぬくし老犬ひがなうとうとと

弥生

鬼と渋その先充る栗の味

榮

初孫を抱き上ぐ匂ひ冬ぬくし

剛

今日の一句(自薦)

杖にする傘翁忌の御堂筋

久美子

（根来久美子80文国）

会へぬまま友の訃報や冬北斗

克

（五十嵐克至60法法）

飾り付け終へし聖堂冬ぬくし

健二

（江澤健二60文英）

冬ぬくし縁で爪剪る老夫婦

占爐

（鈴木顯一62文哲）

大仏の螺髪の雫冬ぬくし

ザザ虫

（小池拓夫64法法）

井戸水の洗顔ぬくし今朝の冬

榮

（鈴木榮64経経）

冬ぬくし立っちの出来た誕生日

弥生

（岩淵純子64外英）

沈黙も言葉のひとつ石蕗の花

都代子

（坂井都代子66文英）

初孫を抱き上ぐ匂ひ冬ぬくし

剛

（中村剛66文英）

切干に閉ぢ込められし陽の甘さ

幸子

（稲田幸子67文教）

冴ゆる夜や宇宙に響く非常ベル

怜子

（和高怜子67文新）

我が思ひ冬蒲公英の背丈ほど

洋

（後藤洋68物理）

過ぎたるもまた気掛かりに帰り花

海村

（畔柳文雄68物理）

ペンキ屋の親子のつなぎ冬ぬくし

陽花

（野地陽子69外英）

冬　夜路　男の人が立っていた

東燿

（鄭東耀69文史）

冬ぬくし校門前の丸ポスト

明子

（中村明子70文史）

主逝きて冬の洋間のチェロ寂し

さむ

（新山修71経経）

初狩の犬追ひ詰める命かな

まありい

（吉迫まありい73国際）

変りゆく雲を眺むる小春かな

ちあき

（國司千晶74文仏）

冬ぬくし定年までの日を数ふ

知子

（山田知子79文国）

実南天ついばむ鳥の眼も円し

扇冶

（児山智明　86文新）