ソフィア俳句会
令和三年一月例会(メール句会)報告
2021年02月25日
今月もメール句会となりました。多数の参加を得、名誉教授・大輪靖宏先生の丁寧なご指導、俳句会代表の根来久美子氏のご尽力により成立しました。先生方の選句及び自薦句は以下の通りです。
参加者 |
二十九名 |
兼題 |
「春待つ」「待春(たいしゅん)」三句出句七句選 |
大輪靖宏選 | ||
(特選) | ||
大寒の一直線の煙かな | 海村 | |
悴むや小銭手間取る朝の市 | 海村 | |
待春や折目を付けし時刻表 | 海村 | |
レコード針そつと落として春を待つ | 久美子 | |
まち針は桃いろ春を待つ産着 | 久美子 | |
待春の畑にたつぷり元肥蒔く | ザザ虫 | |
風のいろ山のいろ見て春待てり | ザザ虫 | |
搾乳の湯気に始まるお元日 | 陽花 | |
通りやんせの細道染めし寒夕焼 | 陽花 | |
巣籠りにしぼむ身を堪へ春を待つ | 洋 | |
遠富士の今朝を烟らす焚火かな | 洋 | |
ページ繰る指の先から春を待つ | 知子 | |
春待つや膝の屈伸繰り返し | 知子 | |
無骨さの中の含蓄海鼠噛む | 榮 | |
ことのほか熱き焙じ茶雪もよひ | 幸子 | |
古楽器の音のふくらみ春隣 | 都代子 | |
届きしみかん葉付き混じりて年迎ふ | 香文 | |
春を待つ日本産まれや麒麟の子 | 剛 | |
江戸小紋仕上がりくれば春を待つ | 占爐 | |
春待つや赤子日毎によく笑ふ | 弥生 | |
巣ごもりに何時にもまして春を待つ | 啓子 | |
ママレード煮詰める厨春待ちて | まつ子 | |
百歳を目指すてふ母ごまめ噛む | ふえり | |
山白し窓見る母の春遠し | 深雪 | |
京野菜とどく厨に日脚伸ぶ | まありい | |
春を待つ母ゆつくりと忙しく | 純子 | |
待春や木立の下の草の下 | 克 | |
(並選) | ||
ポケットの穴より逃ぐる年の暮 | 美音 | |
待春や植物図鑑めくりつつ | 美音 | |
雛鳥は飛行練習しづり雪 | 美音 | |
マスト鳴る江ノ島のヨット春待ちて | まつ子 | |
芝庭に野鳩啄む春待ちて | まつ子 | |
春待つや千鳥格子に光る川 | 健二 | |
冬凪や空にアルトの鳶の声 | 健二 | |
土匂ふ春待つ草の薄緑 | 弥生 | |
春待つやもうすぐ乳歯生えさうな | 弥生 | |
冬日差し谷間の町を包みをり | 明子 | |
鉢並ぶ窓辺明るく春を待つ | 明子 | |
紺碧の空奪ひあふ冬木立 | 洋 | |
寒泳ぎ白さまぶしきロシアびと | さむ | |
草枯れにテニスボールの黄花かな | 香文 | |
松過ぎて玄関ドアの頼りなき | 由貴 | |
家族して作る味噌玉春を待つ | 榮 | |
羽子を打つ割烹着の袖たくし上げ | ふえり | |
揺るぎなき富士眺めつつ春を待つ | 啓子 | |
鰭酒やふつと外気に当たりたし | 幸子 | |
待つことを教へられ今春隣 | 幸子 | |
春待つや餡パン天に臍を向け | 久美子 | |
コロナ禍でひとりのおでん暖をとる | 節子 | |
蹴り上ぐるボールの先の初山河 | 都代子 | |
胎動の日に日に新た春を待つ | 陽花 | |
さざんかにめじろつどひてまどなごむ | 純子 | |
日替はりの庭の落葉の意匠かな | 健二 | |
歯磨きの香りの甘し春を待つ | ちあき | |
根来久美子選 | ||
(特選) | ||
皆にまた会ふ日も来むと春を待つ | 靖宏 | |
大寒の一直線の煙かな | 海村 | |
悴むや小銭手間取る朝の市 | 海村 | |
搾乳の湯気に始まるお元日 | 陽花 | |
風のいろ山のいろ見て春待てり | ザザ虫 | |
古楽器の音のふくらみ春隣 | 都代子 | |
無骨さの中の含蓄海鼠噛む | 榮 | |
(並選) | ||
書き初めは業平の歌忍ぶ恋 | 靖宏 | |
コロナ禍を我が家訪ひ来る初雀 | 靖宏 | |
柳絮飛ぶきのふもけふも川流れ | ちあき | |
寒晴や白鷺光咥へ立つ | ちあき | |
春待ちて氈鹿(あお)立ち尽くす富士の崖 | 由貴 | |
市松席熱気抱へて初芝居 | 剛 | |
日替はりの庭の落葉の意匠かな | 健二 | |
今日の一句(自薦) | ||
コロナ禍を我が家訪ひ来る初雀 | 靖宏 | (大輪靖宏名誉教授) |
レコード針そつと落として春を待つ | 久美子 | (根来久美子80文国) |
この星に瑕疵なき春を待つ生命 | 占爐 | (鈴木顯一62文哲) |
無骨さの中の含蓄海鼠噛む | 榮 | (鈴木榮64経経) |
天地や元日の月罷り出づ | 剛 | (中村剛66文英) |
春待つや赤子日毎によく笑ふ | 弥生 | (岩淵純子64外英) |
寒泳ぎ白さまぶしきロシアびと | さむ | (新山修71経経) |
大寒の一直線の煙かな | 海村 | (畔柳文雄68物理) |
春待つや座敷這ふ子の布の沓 | 克 | (五十嵐克至60法法) |
待春の畑にたつぷり元肥蒔く | ザザ虫 | (小池拓夫64法法) |
巣籠りにしぼむ身を堪へ春を待つ | 洋 | (後藤洋68物理) |
鰭酒やふつと外気に当たりたし | 幸子 | (稲田幸子67文教) |
春待つや千鳥格子に光る川 | 健二 | (江澤健二60文英) |
草草の名札のあらた春を待つ | 都代子 | (坂井都代子66文英) |
問ふたび困り顔の母春を待つ | 香文 | (田中香文79文国) |
春待つや式は未定と婚通知 | ふえり | (廣野ふえり82文社) |
冬日差し谷間の町を包みをり | 明子 | (中村明子70文史) |
マスト鳴る江ノ島のヨット春待ちて | まつ子 | (中岡昭子67文教) |
春を待つカラス水浴びヒト見惚れ | 怜子 | (和高怜子67文新) |
搾乳の湯気に始まるお元日 | 陽花 | (野地陽子69外英) |
山白し窓見る母の春遠し | 深雪 | (岩瀬深雪78外独) |
揺るぎなき富士眺めつつ春を待つ | 啓子 | (永井啓子67文新) |
座椅子買ひパソコンいぢり春待つ日 | 節子 | (國島節子78外英) |
松過ぎて玄関ドアの頼りなき | 由貴 | (レイトン由貴80文国) |
京野菜とどく厨に日脚伸ぶ | まありい | (吉迫まありい73国際) |
春を待つ母ゆつくりと忙しく | 純子 | (梅本純子82文仏) |
ポケットの穴より逃ぐる年の暮 | 美音 | (向瀬美音82外独) |
バス停で吾を待つ父の冬帽子 | 知子 | (山田知子79文国) |
寒晴や白鷺光咥へ立つ | ちあき | (國司千晶74文仏) |
次回例会
今月同様メール句会となります。
締切:2月25日(木)13時(時間厳守) |
兼題:「下萌」「草萌」「草青む」 |
以上
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