ソフィア俳句会
令和二年十一月例会(メール句会)報告
2020年12月14日
今月もメール句会となりました。多数の参加を得、名誉教授・大輪靖宏先生の丁寧なご指導、俳句会代表の根来久美子氏のご尽力により成立しました。先生方の選句及び自薦句は以下の通りです。
参加者 |
二十七名 |
|
兼題 |
「帰り花」 | 三句出句七句選 |
大輪靖宏選 | ||
(特選) | ||
自慢めく苦労話や大根漬 | 久美子 | |
背に受くる柔らかきこゑ帰り花 | 久美子 | |
路地抜けて次の路地へと初時雨 | 久美子 | |
おろし金刻む匠の息白し | 榮 | |
バスを待つ余白を灯す帰り花 | 榮 | |
生を得し子羊包む今年藁 | 榮 | |
裸木の透けるだけ透け茜空 | 幸子 | |
踏まぬやうそつと蒲公英帰り花 | 幸子 | |
初紅葉色づいてゆく二人かな | 美音 | |
帰り花うしろより声かけられて | 都代子 | |
避雷針突き刺してゐる鰯雲 | 怜子 | |
しはぶきの納まりてさあ終楽章 | さむ | |
父母の墓は高台帰り花 | ちあき | |
規格外の柚子が土産のボランティア | ザザ虫 | |
今日一輪をととひ一輪帰り花 | 克 | |
茶の花や雨のしづくを零しつつ | 弥生 | |
季節問ふアルツの妻よ帰り花 | 深雪 | |
表具師の刷毛の手捌き小六月 | 陽花 | |
園児らの指す冬空を機影ゆく | 明子 | |
かみ合はぬ句会の帰路に夕時雨 | 啓子 | |
あらここに得した気分帰り花 | 節子 | |
母逝きてのちの今生帰り花 | 洋 | |
色薄く薄日を糧に帰り花 | まつ子 | |
老木に胴吹きしてをり帰り花 | 占爐 | |
思はざる色に紫陽花返り咲く | ふえり | |
薄墨の城址に灯る帰り花 | 由貴 | |
母の手引きて道を渡るや帰り花 | 香文 | |
(並選) | ||
寝転びて五尺七寸日向ぼこ | ||
気付かれぬことと知りてか帰花 | 海村 | |
人だかりして鮟鱇の吊し切り | 海村 | |
返り咲くたんぽぽの黄や道祖神 | ザザ虫 | |
木枯や野麦峠の今昔 | ザザ虫 | |
生き物も生痕化石も冷ゆる夜半 | 洋 | |
銀杏散る此岸彼岸をほしいまま | 洋 | |
躍り出づる鹿の啄む柔の土 | 由貴 | |
群青に風駆け抜けて牡蠣筏 | 由貴 | |
冬の薔薇夢みるやうに崩れけり | 剛 | |
銀杏降る地にあこがれの在る如く | 剛 | |
紅葉かつ散るふるさと村を路線バス | ちあき | |
竈よりチーズ焼ける香秋の暮 | ちあき | |
障子てふフィルター越しに朝日差 | 都代子 | |
幼振る手の遠ざかる初時雨 | 都代子 | |
季待たず逝く君がため帰り花 | 深雪 | |
青春の名残ふたたび帰り花 | 弥生 | |
往来の塵に見紛ふ冬の蝶 | ふえり | |
冬紅葉奇岩彩る昇仙峡 | 啓子 | |
風軽き朝に見つけし帰り花 | 知子 | |
隣家の物置主に隠れて蔦かずら | 香文 | |
災害の模擬放送や小春風 | 克 | |
火の恋しパズル一片失ひて | 美音 | |
犬の名にきなこやプリンああ小春 | 健二 | |
金色の木の葉舞ふ道子らの声 | 明子 | |
根来久美子選 | ||
(特選) | ||
生きてゐる証しの爪を切る小春 | 靖宏 | |
おろし金刻む匠の息白し | 榮 | |
バスを待つ余白を灯す帰り花 | 榮 | |
裸木の透けるだけ透け茜空 | 幸子 | |
帰り花うしろより声かけられて | 都代子 | |
父母の墓は高台帰り花 | ちあき | |
規格外の柚子が土産のボランティア | ザザ虫 | |
群青に風駆け抜けて牡蠣筏 | 由貴 | |
母逝きてのちの今生帰り花 | 洋 | |
(並選) | ||
過ぎし日々心によぎる帰り花 | 靖宏 | |
老いの身に余力のありて帰り花 | 靖宏 | |
季待たず逝く君がため帰り花 | 深雪 | |
往来の塵に見紛ふ冬の蝶 | ふえり | |
しはぶきの納まりてさあ終楽章 | さむ | |
表具師の刷毛の手捌き小六月 | 陽花 | |
生を得し子羊包む今年藁 | 榮 | |
竈よりチーズ焼ける香秋の暮 | ちあき | |
薄墨の城址に灯る帰り花 | 由貴 | |
今日の一句(自薦) | ||
生きてゐる証しの爪を切る小春 | 靖宏 | (大輪靖宏名誉教授) |
自慢めく苦労話や大根漬 | 久美子 | (根来久美子80文国) |
ふと出逢へ探す無粋や帰り花 | 占爐 | (鈴木顯一62文哲) |
おろし金刻む匠の息白し | 榮 | (鈴木榮64経経) |
山吹や我が春もがな帰り花 | 剛 | (中村剛66文英) |
青春の名残ふたたび帰り花 | 弥生 | (岩淵純子64外英) |
しはぶきの納まりてさあ終楽章 | さむ | (新山修71経経) |
寝転びて五尺七寸日向ぼこ | 海村 | (畔柳文雄68物理) |
堆肥から南瓜の蔓に忘れ花 | 克 | (五十嵐克至60法法) |
返り咲くたんぽぽの黄や道祖神 | ザザ虫 | (小池拓夫64法法) |
生き物も生痕化石も冷ゆる夜半 | 洋 | (後藤洋68物理) |
裸木の透けるだけ透け茜空 | 幸子 | (稲田幸子67文教) |
曾祖母と同じ命名帰り花 | 健二 | (江澤健二60文英) |
帰り花うしろより声かけられて | 都代子 | (坂井都代子66文英) |
ぶらんこの鎖の手触り冬に入る | 香文 | (田中香文79文国) |
往来の塵に見紛ふ冬の蝶 | ふえり | (廣野ふえり82文社) |
掌ではかる蜜柑の甘さかな | 知子 | (山田知子79文国) |
吹く風に飛ばされまいと帰り花 | 明子 | (中村明子70文史) |
小春日に抱つこで参る三歳児 | まつ子 | (中岡昭子67文教) |
避雷針突き刺している鰯雲 | 怜子 | (和高怜子67文新) |
水鳥の啄む水の色綴れ | 陽花 | (野地陽子69外英) |
季待たず逝く君がため帰り花 | 深雪 | (岩瀬深雪78外独) |
コロナ禍で時節忘れし帰り花 | 啓子 | (永井啓子67文新) |
初紅葉色づひてゆく二人かな | 美音 | (向瀬美音82外独) |
ゆらゆらと私の心コスモス花 | 節子 | (國島節子78外英) |
躍り出づる鹿の啄む柔の土 | 由貴 | (レイトン由貴80文国) |
父母の墓は高台帰り花 | ちあき | (國司千晶74文仏) |
次回例会
今月同様メール句会となります。
締切: | 12月24日(木曜)13時(時間厳守) |
兼題: | クリスマス(降誕祭・聖誕節・聖樹・クリスマスツリー・聖夜・聖菓・クリスマスケーキ・サンタクロース・クリスマスイブなど) |
以上
ソフィア俳句会の最新情報
2025年01月08日 |
|
2024年12月09日 |
|
2024年11月08日 |
|
2024年10月04日 |
|
2024年09月04日 |