ソフィア俳句会 令和二年五月例会(メール句会)報告
2020年06月17日
今月もメール句会となりました。多数の参加を得、名誉教授・大輪靖宏先生の丁寧なご指導、俳句会代表の根来久美子氏のご尽力により成立しました。先生方の選句及び自薦句は以下の通りです。
参加者 |
三十二名 |
兼題 |
「卯波」三句出句七句選 |
大輪 靖宏 選 | ||
(特選) | ||
蔵に遺る津波の記録桐の花 | 陽花 | |
卯波立つ魚の匂ひの浦賀みち | 陽花 | |
卯波立つ湾を巧みにタグボート | ふえり | |
新しき風の背に乗り卯波立つ | 久美子 | |
卯波立つ入江に舫ふ盥舟 | 榮 | |
そよ風に音を重ぬる小判草 | 榮 | |
卯の花のほろほろ散りて波の立つ | 占爐 | |
卯月とは花も波さへ白かりき | 占爐 | |
老鶯と歩の音のみぞ朝散歩 | 香文 | |
江の島の沖の雄雄しき卯波晴れ | 洋 | |
船窓をたたく卯波と空の青 | 克 | |
青あらし踊るジーンズ物干場 | さむ | |
音もなく砂丘襲ひし初ゆだち | さむ | |
落つる陽に水平線の卯波濃く | まつ子 | |
川の面の光を微塵青嵐 | 健二 | |
新緑の中の鳥居を潜りけり | ちあき | |
早鞆の瀬戸に降る雨立つ卯浪 | 剛 | |
卯波立つ海の色濃く島フェリー | 怜子 | |
拡声器の豆腐屋来たり夕薄暑 | 知子 | |
新樹光補助輪の音響かせて | 明子 | |
小糠雨堂裏著莪の花明かり | 幸子 | |
見えて来し塔はシャルトル麦の秋 | 海村 | |
海神を祀る岬や卯波立つ | 由果 | |
鳥海山田水に雪形映し夏 | 弥生 | |
卯波染め沈む夕日は山陰に | まつ子 | |
群青の湾に潮満ち卯波立つ | 哲 | |
距離感の距離がわからずかたつむり | 栄司 | |
(並選) | ||
卯波立つ彫師伊八の欄間かな | ザザ虫 | |
山毛欅の幹心音聴こゆ五月かな | ザザ虫 | |
二丁櫓で渡る小島や卯波立つ | 海村 | |
芝居小屋みな閉ぢられて傘雨の忌 | 海村 | |
富士を背に卯波の先に烏帽子岩 | まつ子 | |
胡瓜もて句を詠み初むる五歳かな | 由果 | |
道沿ひに群羊のごと若葉立つ | 深雪 | |
ドローンの映す湘南卯波立つ | 知子 | |
剥く手間も楽しや蕗の翡翠色 | 知子 | |
海鳥や卯波見下ろし風となり | 由貴 | |
夏木立笑ひさざめく通学路 | 由貴 | |
外苑のたそがれ優し夏衣 | 剛 | |
迫り上がる噴水の水の落ちどころ | 剛 | |
沖に立つ白き卯波を待つサーファー | 啓子 | |
卯波寄せ胸のもやくや洗はれる | まありい | |
子蟹追ふ赤いかっこの遠い音 | まありい | |
卯月浪自律神経荒れもやう | まありい | |
卯波たつ小貝の簾揺れる店 | 占爐 | |
藤房を揺らし目白の遊ぶらし | 弥生 | |
国境の海よりきたる卯波かな | 栄司 | |
緊急事態宣言解除のあとの走り梅雨 | 栄司 | |
他人(ひと)の目は気にせず行かう芥子坊主 | 幸子 | |
日傘差す少しく人を遠ざけて | ふえり | |
黒船の沖をはるかに夏燕 | 陽花 | |
我慢することも息災がまがへる | 榮 | |
子守唄邪魔せぬやうに夏落葉 | 久美子 | |
点描の卯波一筆に水平線 | 洋 | |
こんな日は白いドレスに薔薇挿して | ちあき | |
海溝に立てし釣糸卯波切る | 哲 | |
小さき水脈残して川の青大将 | 克 | |
卯波分け漁船は帰る田子の浦 | 明子 | |
もてなしは庭のたけのこ汁に入れ | 明子 | |
根来 久美子 選 | ||
(特選) | ||
人間の恋ははかなし更衣 | 靖宏 | |
蔵に遺る津波の記録桐の花 | 陽花 | |
我慢することも息災がまがへる | 榮 | |
見えて来し塔はシャルトル麦の秋 | 海村 | |
距離感の距離がわからずかたつむり | 栄司 | |
(並選) | ||
卯波立つ彫師伊八の欄間かな | ザザ虫 | |
二丁櫓で渡る小島や卯波立つ | 海村 | |
芝居小屋みな閉ぢられて傘雨の忌 | 海村 | |
草いきれ錆びし鉄路の涯見えず | 靖宏 | |
青あらし踊るジーンズ物干場 | さむ | |
川の面の光を微塵青嵐 | 健二 | |
新緑の中の鳥居を潜りけり | ちあき | |
こんな日は白いドレスに薔薇挿して | ちあき | |
日傘差す少しく人を遠ざけて | ふえり | |
拡声器の豆腐屋来たり夕薄暑 | 知子 | |
小糠雨堂裏著莪の花明かり | 幸子 | |
今日の一句(自薦) | ||
人間の恋ははかなし更衣 | 靖宏 | (大輪靖宏名誉教授) |
新しき風の背に乗り卯波立つ | 久美子 | (根来久美子80文国) |
卯の花のほろほろ散りて波の立つ | 占爐 | (鈴木顕一62文哲) |
我慢することも息災がまがへる | 榮 | (鈴木榮64経経) |
迫り上がる噴水の水の落ちどころ | 剛 | (中村剛66文英) |
鳥海山田水に雪形映し夏 | 弥生 | (岩淵純子64外英) |
枇杷の実の見目やさしくも種にくし | さむ | (新山修71経経) |
見えて来し塔はシャルトル麦の秋 | 海村 | (畔柳文雄68理物) |
船窓をたたく卯波と空の青 | 克 | (五十嵐克至60法法) |
卯波立つ彫師伊八の欄間かな | ザザ虫 | (小池拓夫64法法) |
ホップステップジャンプ尺蠖綴る二寸ほど | 洋 | (後藤 洋68物理) |
小糠雨堂裏著莪の花明かり | 幸子 | (稲田幸子67文教) |
横抱きのサーフボードや卯波立つ | 健二 | (江澤健二60文英) |
卯波寄す防波堤を朝日かな | 都代子 | (坂井都代子66文英) |
柿の花石に積もりて咲くを知り | 香文 | (田中香文79文国) |
日傘差す少しく人を遠ざけて | ふえり | (廣野ふえり82文社) |
ドローンの映す湘南卯波立つ | 知子 | (山田知子79文国) |
子蟹追ふ赤いかっこの遠い音 | まありい | (吉迫まありい73国際) |
もてなしは庭のたけのこ汁に入れ | 明子 | (中村明子70文史) |
卯波染め沈む夕日は山陰に | まつ子 | (中岡昭子67文教) |
卯波立つ海の色濃く島フェリー | 怜子 | (和高怜子67文新) |
今コロナ家中楽し子どもの日 | 節子 | (國島節子78外英) |
卯波立つ魚の匂ひの浦賀みち | 陽花 | (野地陽子69外英) |
道沿ひに群羊のごと若葉立つ | 深雪 | (岩瀬深雪78外独) |
海溝に立てし釣糸卯波切る | 哲 | (松尾哲94理機) |
卯波来て子らの砂城を崩しさり | 啓子 | (永井啓子67文新) |
海鳥や卯波見下ろし風となり | 由貴 | (レイトン由貴80文国) |
緊急事態宣言解除のあとの走り梅雨 | 栄司 | (仲英司82外独) |
半袖の味なり母の豆ごはん | 純子 | (梅本純子82文仏) |
触れ合へば何も変わらぬ卯波かな | 美音 | (向瀬美音82外独) |
海神を祀る岬や卯波立つ | 由果 | (小谷由果04文国) |
こんな日は白いドレスに薔薇挿して | ちあき | (國司千晶74文仏) |
次回例会
今月同様メール句会となります。
投句締切: | 6月25日(木)13時 |
投句数 : | 兼題「万緑」を含む3句(自薦句を明記) |
以上
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