ソフィア俳句会 令和二年四月例会(メール句会)報告
2020年05月14日
新型コロナウイルス感染の影響により、予定されておりました句会は今月もメール句会となりました。多数の参加を得、名誉教授・大輪靖宏先生の丁寧なご指導、俳句会代表の根来久美子氏のご尽力により成立しました。
先生方の選句及び自薦句は以下の通りです。
参加者 |
三十名 |
兼題 |
「朧月」「月おぼろ」三句出句七句選 |
大輪 靖宏 選 | ||
(特選) | ||
帝劇を出で濠端の月おぼろ | 海村 | |
朧月トロイメライの夢の中 | 啓子 | |
張替し網戸五枚の夏隣 | 榮 | |
光陰を宿して遠嶺朧なる | 洋 | |
春潮や浜の神社は色褪せて | ふえり | |
散る花を踏めば東に月朧ろ | 占爐 | |
気に入りの物件らしき巣箱かな | ザザ虫 | |
道端の小花と語るや月おぼろ | 由貴 | |
やはらかに畦踏み春を惜しみけり | 陽花 | |
月朧影の溶けあふ二人づれ | 弥生 | |
本閉じてひとりうたた寝月おぼろ | 節子 | |
朧夜のこゑかけてほしたれとなく | 海村 | |
月朧蛇皮線遠く旅寝かな | さむ | |
おぼろ月散る花びらを手に誘ひ | 由貴 | |
友遠く寄る辺なき手に春火鉢 | 扇治 | |
休校のままの黒板おぼろ月 | 陽花 | |
のどけしや雲の兎は亀形に | 久美子 | |
たんぽぽを避(よ)けてよちよち双子かな | 幸子 | |
おぼろ夜の夫の賄ふ親子丼 | 榮 | |
鍵盤を跳ねる指先日脚伸ぶ | ザザ虫 | |
往還のなければつもる春の雪 | 海村 | |
マスク買ふ列に加はる花の冷え | ふえり | |
家居には幸い多き花の雨 | 深雪 | |
桜散る愛でる人なき街無色 | 弥生 | |
ハミングに春の星々呼応せり | 都代子 | |
カップ手に囀りを聴く朝かな | 明子 | |
猫の恋変はらず地球廻りけり | 扇治 | |
子ども食堂閉ぢる貼紙鳥ぐもり | 陽花 | |
野路すみれ地蔵を囲み広がりぬ | 幸子 | |
生国はお江戸深川てふ蛙 | 久美子 | |
朧夜のひとり宅飲みほろ苦き | まありい | |
而して議論の果ての朧かな | 栄司 | |
(並選) | ||
朧月見上ぐ兵士ら板門店 | さむ | |
朧夜の話だんだん大きくなる | 栄司 | |
外つ国の友案ずるや月おぼろ | 深雪 | |
チューリップスーパームーンの影に乗り | 哲 | |
線香の煙まっすぐ朧月 | まつ子 | |
何処からか夕餉の匂ひ月朧 | 弥生 | |
風信子パリの下宿で文を書く | 節子 | |
厭離穢土祈り包んで月おぼろ | 久美子 | |
盛り場も声をひそめし月おぼろ | 扇治 | |
サーカスのテントの上のおぼろ月 | ちあき | |
舞ふ桜乳母車から手のにゆつと | 香文 | |
江ノ電の一駅だけの春の虹 | まつ子 | |
飼猫の後ろ姿や月朧 | 怜子 | |
蛙鳴(あめい)いま闇に鍛へし喉遣ひ | 洋 | |
会ひたしと交はすメールやおぼろ月 | ふえり | |
春の宵手持無沙汰のラーメン屋 | 知子 | |
さねかずら着物男子の裾捌き | まありい | |
目にやさし庭に広がる春の草 | 明子 | |
長居して急ぐ家路に朧月 | 香文 | |
覚束な令和二年の蜷の道 | 洋 | |
琴の音に歩み返して路地の春 | まつ子 | |
蛤の砂を出す間に三句出来 | さむ | |
切りたての髪揺るる肩おぼろ月 | 由貴 | |
立ち止まる花舗の店先イースター | ちあき | |
朧月数独に耽る日もあり | 香文 | |
誰れ彼れに声かけまほし春の宵 | 剛 | |
母と娘のひそひそ話月おぼろ | 知子 | |
根来 久美子 選 | ||
(特選) | ||
光陰を宿して遠嶺朧なる | 洋 | |
気に入りの物件らしき巣箱かな | ザザ虫 | |
広き野をたどれば孤独月おぼろ | 靖宏 | |
休校のままの黒板おぼろ月 | 陽花 | |
子ども食堂閉ぢる貼紙鳥ぐもり | 陽花 | |
(並選) | ||
帝劇を出で濠端の月おぼろ | 海村 | |
外つ国の友案ずるや月おぼろ | 深雪 | |
月朧影の溶けあふ二人づれ | 弥生 | |
江ノ電の一駅だけの春の虹 | まつ子 | |
おぼろ月散る花びらを手に誘ひ | 由貴 | |
おぼろ夜の夫の賄ふ親子丼 | 榮 | |
覚束な令和二年の蜷の道 | 洋 | |
ハミングに春の星々呼応せり | 都代子 | |
疫病の街なれば蝶よろけ飛ぶ | 靖宏 | |
母と娘のひそひそ話月おぼろ | 知子 | |
今日の一句(自薦) | ||
広き野をたどれば孤独月おぼろ | 靖宏 | (大輪靖宏名誉教授) |
のどけしや雲の兎は亀形に | 久美子 | (根来久美子80文国) |
はしるのは雲かわが身か月朧ろ | 占爐 | (鈴木顕一62文哲) |
走り根の大石抱く穀雨かな | 榮 | (鈴木榮64経経) |
花吹雪痛みし春も連れて舞へ | 剛 | (中村剛66文英) |
何処からか夕餉の匂ひ月朧 | 弥生 | (岩淵純子64外英) |
朧月見上ぐ兵士ら板門店 | さむ | (新山修71経経) |
往還のなければつもる春の雪 | 海村 | (畔柳文雄68理物) |
鐘おぼろ今日一日に不可もなし | 克 | (五十嵐克至60法法) |
気に入りの物件らしき巣箱かな | ザザ虫 | (小池拓夫64法法) |
蛙鳴(あめい)いま闇に鍛へし喉遣ひ | 洋 | (後藤 洋68物理) |
また一つ延期となりて月おぼろ | 幸子 | (稲田幸子67文教) |
漸減の平均余命朧月 | 健二 | (江澤健二60文英) |
連結の灯の遠ざかる朧月 | 都代子 | (坂井都代子66文英) |
舞ふ桜乳母車から手のにゆつと | 香文 | (田中香文79文国) |
春潮や浜の神社は色褪せて | ふえり | (廣野ふえり82文社) |
路地売りの筍茹でし乳の色 | 知子 | (山田知子79文国) |
缶詰の創作料理日永かな | まありい | (吉迫まありい73国際) |
カップ手に囀りを聴く朝かな | 明子 | (中村明子70文史) |
江ノ電の一駅だけの春の虹 | まつ子 | (中岡昭子67文教) |
飼猫の後ろ姿や月朧 | 怜子 | (和高怜子67文新) |
本閉じてひとりうたた寝月おぼろ | 節子 | (國島節子78外英) |
休校のままの黒板おぼろ月 | 陽花 | (野地陽子69外英) |
外つ国の友案ずるや月おぼろ | 深雪 | (岩瀬深雪78外独) |
鉄道橋また朧夜をまたぐ音 | 哲 | (松尾哲94理機) |
末広に筋雲かかる春の海 | 啓子 | (永井啓子67文新) |
友遠く寄る辺なき手に春火鉢 | 扇冶 | (児山智明86文新) |
おぼろ月散る花びらを手に誘ひ | 由貴 | (レイトン由貴80文国) |
朧夜の話だんだん大きくなる | 栄司 | (仲 英司82外独) |
月朧黒豹するり柵抜けて | ちあき | (國司千晶74文仏) |
次回例会
今月同様メール句会となります。
投句締切: | 5月28日(木)13時 |
投句数 : | 兼題「卯波」を含む3句(自薦句を明記) |
以上
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