ソフィア俳句会 平成三十年六月例会報告
2018年07月09日
名誉教授・大輪靖宏先生のご指導のもと、母校ソフィアンズクラブ会議室にて開催されました。
俳句専門誌「俳句界」の編集長で同窓の河内静魚氏、俳句会代表の根来久美子氏の選も併せてお届けします。なお、句会体験見学として二名のゲスト参加がありました。
日 時 |
: |
六月二十八日(木) 十三時~十六時 |
句会場 |
: |
ソフィアンズクラブ会議室 |
参加者 |
: |
三十名 |
兼 題 |
: |
「紫陽花」(四葩、七変化) 五句出句 八句選 |
(注) |
*印はゲスト参加者 |
大輪靖宏先生選
(特選)
しののめの静けさに似る四葩かな |
静魚 |
(河内房夫74文新) |
天水に色あるごとく七変化 |
さむ |
(新山修71経経) |
水張りし田んぼに山の佇めり |
香文 |
(田中香文79文国) |
梅雨入の藍を濃くするのれんかな |
海村 |
(畔柳文雄68理物) |
窓の縁プリズム色やつゆの明 |
まありい |
(吉迫まありい73国際) |
考妣の隣が席ぞ夕端居 |
克 |
(五十嵐克至60法法) |
梅雨寒や苦行の釈迦の肋骨 |
克 |
(五十嵐克至60法法) |
燃えさうな金魚ふはふは水の中 |
静魚 |
(河内房夫74文新) |
迷ふこと多き人の世かたつむり |
扇冶 |
(児山智明86文新) |
紫陽花や娘の恋人またかはる |
占爐 |
(鈴木顯一62文哲) |
(並選)
苗植うる尻に田水の照り返し |
都代子 |
(坂井都代子66文英) |
舫はれて波に逆らふヨットかな |
健二 |
(江澤健二60文英) |
梅雨寒や糸の通らぬ針ばかり |
岩淵* |
(岩淵純子64外英) |
八丈に寝ころびて見る夏の星 |
明子 |
(中村明子70文史) |
開け閉めのきかぬ裏木戸濃あぢさゐ |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
広重の雨を添へたしあぢさゐ花 |
収子 |
(堀収子80文国) |
人魂ときけば会ひたきホタルかな |
喜久子* |
(徳丸喜久子64外英) |
紫陽花やわが住むところ水の星 |
岩淵* |
(岩淵純子64外英) |
パナマ帽男の背の雄弁に |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
鱧食うて闇の近づく東山 |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
空き屋敷くちなし匂ふ夕間暮 |
幸子 |
(稲田幸子67文教) |
上見ずに生きる幸せ茄子の花 |
小園 |
(粕谷慈夫60外西) |
夢と木の間に揺るるハンモック |
美音 |
(向瀬美音82外独) |
根来久美子選
(特選)
紫陽花やけふはきつぱりけふの色 |
ちあき |
(國司千晶74文仏) |
(並選)
繭作る如く自分史書いてをり |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
草引いて草の匂ひの残りたる |
ザザ虫 |
(小池拓夫64法法) |
江ノ電の四葩を揺らし通り過ぐ |
ザザ虫 |
(小池拓夫64法法) |
梅雨寒や糸の通らぬ針ばかり |
岩淵* |
(岩淵純子64外英) |
片蔭を頼りに巡る町屋筋 |
海村 |
(畔柳文雄68理物) |
赤うるむ千本鳥居青しぐれ |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
鱧食うて闇の近づく東山 |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
河内静魚選
(特選)
繭作る如く自分史書いてをり |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
はじまりはその匂ひなりラベンダー |
美音 |
(向瀬美音82外独) |
鱧食うて闇の近づく東山 |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
公園の時計の前の若葉かな |
健二 |
(江澤健二60文英) |
(並選)
苗植うる尻に田水の照り返し |
都代子 |
(坂井都代子66文英) |
夜に入りて白きかをりや花蜜柑 |
幸子 |
(稲田幸子67文教) |
梅雨入の藍を濃くするのれんかな |
海村 |
(畔柳文雄68理物) |
西郷像のその影にゐて風涼し |
海村 |
(畔柳文雄68理物) |
父の日の肩叩き券古びたる |
健二 |
(江澤健二60文英) |
かたつむり己が歩みを信じ行く |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
国分寺跡の礎石に夏至の雨 |
楽酔 |
(石田順之助60経商) |
この世とは悩む生なり七変化 |
占爐 |
(鈴木顯一62文哲) |
すぐそこの用に出渋る梅雨の午後 |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
短夜の夢に亡父の間遠なる |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
住所録亡き人消せば梅雨ふかし |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
今日の一句(自薦)
あぢさゐに鎌倉湿る夕べかな |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
パナマ帽男の背の雄弁に |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
しののめの静けさに似る四葩かな |
静魚 |
(河内房夫74文新) |
鱧食うて闇の近づく東山 |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
父の日のお祝ひ送ると予約あり |
金八 |
(行方謹四郎60経) |
上見ずに生きる幸せ茄子の花 |
小園 |
(粕谷慈夫60外西) |
考妣の隣が席ぞ夕端居 |
克 |
(五十嵐克至60法法) |
紫陽花やわが住むところ水の星 |
岩淵* |
(岩淵純子64外英) |
窓の縁プリズム色やつゆの明 |
まありい |
(吉迫まありい73国際) |
初鳴きや蝉の婚活待つたなし |
さむ |
(新山修71経経) |
あぢさゐはどんより雲の雨が好き |
東耀 |
(鄭東耀69文史) |
舫はれて波に逆らふヨットかな |
健二 |
(江澤健二60文英) |
古都の径たれも見に来ぬあぢさゐは |
純子 |
(梅本純子82文仏) |
西郷像のその影にゐて風涼し |
海村 |
(畔柳文雄68理物) |
紫陽花やけふはきつぱりけふの色 |
ちあき |
(國司千晶74文仏) |
黴の香や針穴せまき雨の午後 |
扇冶 |
(児山智明86文新) |
鮎速し張り合ふ性の哀しかり |
剛 |
(中村剛66文英) |
父の日や大吟醸を飲み比べ |
幸子 |
(稲田幸子67文教) |
梅雨山に蛭除け靴で青葉追ふ |
楽酔 |
(石田順之助60経商) |
黒パンの微かな酸味夏至の雨 |
ザザ虫 |
(小池拓夫64法法) |
はじまりはその匂ひなりラベンダー |
美音 |
(向瀬美音82外独) |
苗植うる尻に田水の照り返し |
都代子 |
(坂井都代子66文英) |
水張りし田んぼに山の佇めり |
香文 |
(田中香文79文国) |
広重の雨を添へたしあぢさゐ花 |
収子 |
(堀収子80文国) |
もてあます心急く日の濃紫陽花 |
知子 |
(山田知子79文国) |
紫陽花の花を落とせばそこに夏 |
占爐 |
(鈴木顯一62文哲) |
被炎田に灯る二点の蛍かな |
榮 |
(鈴木榮64経経) |
紫陽花の青こぼれをり交差点 |
明子 |
(中村明子70文史) |
あぢさゐの一途な藍の深さかな |
秀 |
(内海秀夫60経経) |
次回例会
七月二十六日(木)十三時~十七時
句会場 かながわ県民センター1501会議室
兼題「夏炉」他当季雑詠計五句
以上
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