ソフィア俳句会 平成二十九年十二月例会報告
2017年12月27日
名誉教授・大輪靖宏先生のご指導のもと、母校ソフィアンズクラブ会議室にて、例会日を年末の事情を考慮し第3木曜日に変更し開催されました。兼題の「師走または十二月」を詠込んだ句を中心に110句の鑑賞結果の要旨をお届けします。
なお、合同句集『紀尾井坂』の編集委員長より、原稿がほぼ固まり全体調整の段階になった旨の報告がありました。
日 時 |
: |
十二月二十一日(木) 十三時~十六時三十分 |
句会場 |
: |
ソフィアンズクラブ会議室 |
参加者 |
: |
二十二名 |
兼 題 |
: |
「師走または十二月」 五句出句 十句選 |
(注) |
作句者の*印はゲスト参加者、〇印は選者共選 |
大輪靖宏 選
(特選)
細波の形に尖りし初氷 |
怜子 |
(和高怜子67文新) |
読み返すふみの手擦れや冬ともし |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
虎落笛らんぷの影のゆれるほど |
まありい |
(吉迫まありい73国際) |
星の声きこえてきさう冬の里 |
明子 |
(中村明子70文史) |
プランター冬晴れ混ぜて土作り |
香文 |
(田中香文79文国) |
喜寿にして冬空に撞く三井の鐘 |
ザザ虫 |
(小池拓夫64法法) |
裸木の天つく力大欅 |
榮 |
(鈴木榮64経経) |
まだ知らぬ君の体温毛糸編む |
美音 |
(向瀬美音82外独) |
ガラス窓師走の空も磨きけり |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
書き込みの多き暦や十二月 |
海村 |
(畔柳文雄68理物) |
(並選)
師走酒ぐちとためいきから財布 |
東耀 |
(鄭東耀69文史) |
赤きものひとつ身につけ冬の雨 |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
マスクして顔半分の嘘をつき |
ちあき〇 |
(國司千晶74文仏) |
大けやき影を透して冬茜 |
怜子 |
(和高怜子67文新) |
店頭の鍋の字目立つ街師走 |
榮 |
(鈴木榮64経経) |
水浴びの雀きらめく冬の庭 |
剛 |
(中村剛66文英) |
読点を一つひとつや十二月 |
榮 |
(鈴木榮64経経) |
凍鶴の一声かうと天を吐く |
秀〇 |
(内海秀夫60経経) |
牙むく枝そつと手を入れ柚子を取る |
香文 |
(田中香文79文国) |
十二月蕎麦屋の客のひとり酒 |
怜子 |
(和高怜子67文新) |
邪気払ひ丸ごと浮かぶ柚子の風呂 |
まありい |
(吉迫まありい73国際) |
寒柝やおしやべり声の通り過ぐ |
ザザ虫 |
(小池拓夫64法法) |
おのおのの禍福背にのせ師走街 |
幸子 |
(稲田幸子67文教) |
竹箒自転車に乗る師走かな |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
白菜漬浴びし陽の香も風の香も |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
根来久美子 選
(特選)
凍鶴の天地に動くものはなし |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
(並選)
氷河期の話などしておでん酒 |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
海鼠割く銀色の海溢れさせ |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
寒牡丹凛と強さの奥の侘び |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
鴛鴦の離ればなれの仲の良さ |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
冬浅し息災同士の長電話 |
怜子 |
(和高怜子67文新) |
十二月俺は普段のままいくぜ |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
花かつをたつぷり咲かせ焼大根 |
秀 |
(内海秀夫60経経) |
今日の一句(自薦)
氷河期の話などしておでん酒 |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
師走酒ぐちとためいきから財布 |
東耀 |
(鄭東耀69文史) |
かぶら蒸し病院食の温かき |
幸子 |
(稲田幸子67文教) |
凍鶴の天地に動くものはなし |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
花の座や際潔し寒椿 |
剛 |
(中村剛66文英) |
読み返すふみの手擦れや冬ともし |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
信濃路に師走迎ふる共白髪 |
元信 |
(矢ケ崎元信62経経) |
聖夜劇博士の一人あくびして |
海村 |
(畔柳文雄68理物) |
マスクして顔半分の嘘をつき |
ちあき |
(國司千晶74文仏) |
プランター冬晴れ混ぜて土作り |
香文 |
(田中香文79文国) |
喜寿にして冬空に撞く三井の鐘 |
ザザ虫 |
(小池拓夫64法法) |
魚屋を覗く背中や歳の暮 |
占爐 |
(鈴木顯一62文哲) |
豆挽いてコーヒー淹れる師走午後 |
明子 |
(中村明子70文史) |
古井戸を目にして祈る一葉忌 |
楽酔 |
(石田順之助60経商) |
納屋脇の湯気立つ堆肥遠筑波 |
榮 |
(鈴木榮64経経) |
クメールの遺跡や師走の空青し |
知子 |
(山田知子79文国) |
迷い鳥やすめよここへと冬青の実 |
純子 |
(梅本純子82文仏) |
冬至粥母の長寿を祈りけり |
まありい |
(吉迫まありい73国際) |
冬浅し息災同士の長電話 |
怜子 |
(和高怜子67文新) |
踏切の点滅恨めし日短かし |
荻 |
(荻原久美子79国文) |
まだ知らぬ君の体温毛糸編む |
美音 |
(向瀬美音82外独) |
花かつをたつぷり咲かせ焼大根 |
秀 |
(内海秀夫60経経) |
次回例会
一月二十五日(木) 十二時~十七時
紀尾井亭(旧福田屋)「葵の間」
兼題「初」 他当季雑詠とも計五句
以上
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