ソフィア俳句会 平成二十九年十月例会報告
2017年11月06日
名誉教授・大輪靖宏先生のご指導のもと、母校ソフィアンズクラブ会議室にて開催され、兼題の「秋の果物」を詠み込んだ句を中心に130句の鑑賞を楽しみました。
去る、10月8日には、大輪靖宏先生による芭蕉忌記念講演会が江東区芭蕉記念館にて催され、定員80人を超える俳句愛好家が出席し、ソフィア俳句会からも多数が参加しました。
日 時 |
: |
十月二十六日(木)十三時~十六時三十分 |
句会場 |
: |
ソフィアンズクラブ会議室 |
参加者 |
: |
二十六名 |
兼 題 |
: |
「秋の果物」 五句出句 十句選 |
(注) |
作句者の*印はゲスト参加者 |
大輪靖宏 選
(特選)
うつとりとただ肥ゆるらし秋の果は |
収子* |
(堀収子80文国) |
秋晴れを掬ひて顔を洗ひけり |
哲 |
(松尾哲94理電) |
懐かしき本の書き込み秋の夜 |
健二 |
(江澤健二60文英) |
秋山の小屋で燃やさむ文の束 |
香文 |
(田中香文79文国) |
山里の廃屋灯す柿たわわ |
榮 |
(鈴木榮64経経) |
肌寒や家人にかける言葉増え |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
ご先祖へ湯気も供へん栗おこは |
占爐 |
(鈴木顯一62文哲) |
柿を剥く手先に伝ふ甘さかな |
知子 |
(山田知子79文国) |
小鳥来る朝の目覚めの豊かさよ |
怜子 |
(和高怜子67文新) |
群青を湖と分けあふ秋の空 |
海村〇 |
(畔柳文雄68理物) |
(並選)
日暮れはや天ほころびて三日の月 |
収子* |
(堀収子80文国) |
踏まれては色深めゆく草もみぢ |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
濠端で天守仰げば秋の声 |
健二 |
(江澤健二60文英) |
機音のとんとんからり栗落ちぬ |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
自分だけわかる目印きのこ狩 |
ザザ虫 |
(小池拓夫64法法) |
ぎつしりと柿詰めてあり祖母のわざ |
知子 |
(山田知子79文国) |
林檎でも剥くかと父の独り言 |
知子〇 |
(山田知子79文国) |
秋色に気取れるわたし試着室 |
都代子 |
(坂井都代子66文英) |
膝に来て柿食む孫の柔らかし |
元信 |
(矢ケ崎元信62経経) |
豊かなる午後の厨の焼りんご |
秀 |
(内海秀夫60経経) |
地方紙に包まれ林檎不揃ひで |
幸子 |
(稲田幸子67文教) |
やはらかな草の穂絮の雨雫 |
秀 |
(内海秀夫60経経) |
身に入むや竹馬の友のあつけなく |
海村 |
(畔柳文雄68理物) |
柿拾ひ脇の地蔵に供へけり |
占爐〇 |
(鈴木顯一62文哲) |
地平線やや丸くして鳥渡る |
美音〇 |
(向瀬美音82外独) |
柿たわわ固き心のほどけゆく |
ちあき |
(國司千晶74文仏) |
柿剥けば斑鳩の空ひらけたり |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
瀬戸内の潮目明るし青蜜柑 |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
根来久美子 選
(特選)
書に倦みて灯下にひとり林檎剥く |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
(並選)
芒震へて江ノ電の来る気配 |
ちあき |
(國司千晶74文仏) |
中身なき枝豆一つ選挙カー |
小園 |
(粕谷滋夫60外西) |
白壁をまた探しては蔦かづら |
美音 |
(向瀬美音82外独) |
死者生者語らひ尽きず墓詣 |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
羊雲群れ行く先の木守柿 |
秀 |
(内海秀夫60経経) |
今日の一句(自薦)
日暮れはや天ほころびて三日の月 |
収子* |
(堀収子80文国) |
シテ島の夜霧に濡るる石畳 |
海村 |
(畔柳文雄68理物) |
懐かしき本の書き込み秋の夜 |
健二 |
(江澤健二60文英) |
控へ目の秋ところどこ草紅葉 |
小園 |
(粕谷滋夫60外西) |
林檎でも剥くかと父の独り言 |
知子 |
(山田知子79文国) |
幸せは移ろふ光菊の白 |
剛 |
(中村剛66文英) |
秋山の小屋で燃やさむ文の束 |
香文 |
(田中香文79文国) |
紅玉や淡き思ひの丸かじり |
まつ子 |
(中岡昭子67文教) |
少年の恋閉ぢ込めて青無花果 |
幸子 |
(稲田幸子67文教) |
膝に来て柿食む孫の柔らかし |
元信 |
(矢ケ崎元信62経経) |
野分過ぎ消息電話が暇乞ひ |
克 |
(五十嵐克至60法法) |
木の実打つ一段づつを男坂 |
都代子 |
(坂井都代子66文英) |
くねる道柿の案内で巡る古都 |
占爐 |
(鈴木顯一62文哲) |
やはらかな草の穂絮の雨雫 |
秀 |
(内海秀夫60経経) |
肌寒や家人にかける言葉増え |
久美子 |
(根来久美子80文国) |
枝の先真赤な林檎雪の嶺 |
怜子 |
(和高怜子67文新) |
栗ごはん先づ栗一つ食べにけり |
ザザ虫 |
(小池拓夫64法法) |
落ち柿の消えて二軒の聳え立ち |
哲 |
(松尾哲94理電) |
利酒の眼研ぎ澄むをんな杜氏 |
榮 |
(鈴木榮64経経) |
廃屋にみだれみのりし柿たわわ |
東耀 |
(鄭東耀69文史) |
地平線やや丸くして鳥渡る |
美音 |
(向瀬美音82外独) |
柿たわわ固き心のほどけゆく |
ちあき |
(國司千晶74文仏) |
柿剥けば斑鳩の空ひらけたり |
陽花 |
(野地陽子69外英) |
呑み過ぎてつらき車窓の寝待月 |
靖宏 |
(大輪靖宏名誉教授) |
こほろぎのかそけき声やページ繰る |
明子 |
(中村明子70文史) |
昼さがり街のカフェにてりんごパイ |
節子 |
(國島節子78文英) |
次回例会
十一月三十日(木)十三時~十六時三十分
ソフィアンズクラブ会議室
兼題「立冬」 他当季雑詠とも計五句
以上
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