ソフィア俳句会関西吟行 平成二十七年十月報告
2015年10月28日
開催日:2015年10月7日(水) ~ 9日(金)
ソフィア俳句会では今回番外編として、大輪靖宏先生のもと希望会員とソフィアン・上智句会会員など縁のある仲間が京都近鉄ホテルを根城にして、10月7日(水)から9日(金)までの三日間を、根来久美子(80文国)さんの 味のある見事な設営で大いに句会の輪を広げ、ソフィアンの交流を深めました。
洒落た「瓢亭別館」松花堂弁当での集合、蕪村の墓のある金福寺から詩仙堂、圓光寺、八大神社等にて吟行、夜は先斗町のおばんざい屋「ばんから」で秋の旬と伏見の酒を酌み一日目を気持ちよく終え、翌8日の琵琶湖での「句会」に備えました。
・瓢亭の名残の鱧に松茸椀 怜子
![](img/201510280101.jpg)
京都四条「東華菜館」にて
二日目は早朝に発ち湖西の堅田から「浮御堂」へ、趣のある 湖に出張る歴史ある堂でした。
・月の出をここで待ちたや浮御堂 靖宏
ここから下って 大津京に出て三井寺に、置かれた国宝や重要文化財を広い敷地に尋ね歩きました。
境内の五つの堂が開堂となっており見応え十分でした。 芭蕉の有名な句の碑があり
・三井寺の門たたかばやけふの月
歩けば腹もすくと、琵琶湖の魚を食べさせる「魚忠」へ、横田 順の書く気の利いた暖簾のある畳部屋で「鰻」を満喫。 木曾義仲の生涯に思いを馳せ隣に葬ってほしいと言っていた芭蕉の墓のある「義仲寺」へ、句を嗜む者には必須の寺です。
・堂億の芭蕉座像や秋扇 ザザ虫
ここから湖の畔の句会場へ、琵琶湖を見下しながらの作句、選句に充実した句会の2時間を過しました。
「なかなかいい句が多い吟行句会でした」との先生の評に、全員喜びの笑みがこぼれました。
ここから京都に戻り 翌日の「奈良・斑鳩1dayチケットと特急券」購入して 河原町四条の「東華菜館」へ取って返し、この吟行で最も多い参加者の宴を開きました。大正の館 鴨川の水音が宵を深めました。
三日目は 早朝に宿をチェックアウトして あおによし奈良の都へ直行でした。 大和西大寺で下車 某天皇のものと言われるウワナベ・コナベ古墳外回りを 昔を偲んで眺めました。 堀に咲く野草が深まる秋を感じさせます。
バスで「法華寺」へ 1300年続いた門跡寺院の伝統は今年の4月1日に崩れ民間から樋口 教香さんが住職になっています。 続いてお隣の「海龍王寺」へ、十一面観音やら五重小塔など国宝・重要文化財を愛で薬草園を漫ろ歩けば すでに昼近く大急ぎで 奈良町の老舗割烹「はり新」へ 名物なる「蘇」を楽しみました。
後を考えず打ち上げの「酒」の沁みることでした。
ここで解散各 楽しかった三日を胸に刻み帰路へと就きました。
大輪先生のさりげない朝夕のご指導と 根来久美子さんの完璧な設営に深謝しつつ!
![](img/201510280102.jpg)
奈良「はり新」にて
《句会 報告》
大輪靖宏選
(特特選句)
義仲寺に残る芭蕉の花に逢ふ |
郷子 |
(八嶋郷子 上智句会) |
(特選句)
湖かこふ山の濃淡燕去ぬ |
文世 |
(峯尾文世 87国文) |
竜淵に潜む霊泉寺の秋 | 美音 | (向瀬美音 82外独) |
秋の湖光の欠片ちりばめる | 榮 | (鈴木榮 64経経) |
堂奥の芭蕉座像や秋扇 | ザザ虫 | (小池拓夫 64法法) |
秋日濃き淡海に芭蕉偲びけり | 陽花 | (野地陽子 69外英) |
おこしやす晩秋の京やはらかし | 元信 | (矢ケ﨑元信 62経経) |
旅に出て地酒に過ぎし秋の夜 | 元信 | (矢ケ﨑元信 62経経) |
深廂坐せば帰燕の空ありぬ | 文世 | (峯尾文世 87国文)《根来久美子 特選句》 |
三井寺の屋根に湖載せ秋麗 | 郷子 | (八嶋郷子 上智句会) |
(入選句)
旅に出て酌み交はしたり秋の酒 | 知子 | (山田知子 79文国) |
御位牌に竜胆寄り添ひ静かなり | 香文 | (田中香文 79文国) |
天高し湖族のロマン息づけり | ザザ虫 | (小池拓夫 64法法) |
集ひ来てあふみの秋を愛でにけり | 久美子 | (根来久美子80文国) |
初茸の滋味瓢亭の水澄めり | 陽花 | (野地陽子 69外英) |
瓢亭の名残の鱧に松茸椀 | 怜子 | (和高怜子 67文新) |
横たわるびわ湖大橋鳥渡る | ザザ虫 | (小池拓夫 64法法) |
秋草の名を尋ね合ふ旅愉し | 郷子 | (八嶋郷子 上智句会) |
秋の湖鱗のごとく波光る | 知子 | (山田知子 79文国) |
母恋ふも渡れぬ秋の淡海かな | 美音 | (向瀬美音 82外独) |
朽ち葉掃く女堂守秋障子 | 都代子 | (坂井都代子66文英) |
霊泉の地底より湧き小鳥来る | 陽花 | (野地陽子 69外英) |
蓮の実の飛んで午後の日珠のごと | 都代子 | (坂井都代子66文英) |
燕去ぬ翁の杖のか細さに | 文世 | (峯尾文世 87国) |
秋空のただただ深し三井の鐘 | 久美子 | (根来久美子80文国) |
満を持し添水叩くや天の蒼 | 久美子 | (根来久美子80文国) |
まつたけの朱の椀水は琵琶湖より | 都代子 | (坂井都代子66文英) |
秋の旅夢応の鯉の淡海かな | 美音 | (向瀬美音 82外独) |
近江の湖千秋を知る浮御堂 | 占爐 | (鈴木顯一 62文哲) |
紫の花に名があり秋の旅 | 知子 | (山田知子 79文国)《峯尾文世 特選句》 |
秋の風鳶の遊弋金福寺 | 怜子 | (和高怜子 67文新) |
今日の一句 《自薦》
格子戸を開けて秋の陽おいでやす | 金八 | (行方金四郎 60経経) |
旅に出て地酒に過ぎし秋の夜 | 元信 | (矢ケ﨑元信 62経経) |
瓢亭のがまづみの実に矢立初む | 占爐 | (鈴木顯一 62文哲) |
天高し湖族のロマンいきづけり | ザザ虫 | (小池拓夫 64法法) |
秋の湖光の欠片ちりばめる | 榮 | (鈴木榮 64経経) |
松茸の朱の椀水は琵琶湖より | 都代子 | (坂井都代子66文英) |
秋の風鳶の遊弋金福寺 | 怜子 | (和高怜子 67文新) |
秋日濃き淡海に芭蕉偲びけり | 陽花 | (野地陽子 69外英) |
紫の花に名があり秋の旅 | 知子 | (山田知子 79文国) |
御位牌に竜胆寄り添ひ静かなり | 香文 | (田中香文 79文国) |
秋空のただただ深し三井の鐘 | 久美子 | (根来久美子80文国) |
竜淵に潜む霊泉寺の秋 | 美音 | (向瀬美音 82外独) |
あはうみの水面詳しき帰燕かな | 文世 | (峯尾文世 87国文) |
義仲寺に残る芭蕉の花に逢ふ | 郷子 | (八嶋郷子 上智句会) |
月の出をここで待ちたや浮御堂 | 靖宏 | (大輪靖宏 名誉教授) |
以上
ソフィア俳句会
鈴木顯一 (62文哲)
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