カルチャーカフェのご案内 - デュッセルドルフ・ソフィア会、ベルギー・ソフィア会共催
2021年10月19日
わがいのち菊にむかひてしづかなる 秋櫻子
皆様は、ご自分の死について考えてみたことはありませんか。終活という言葉が最近使われるようになったこともあり、中高年になると、何かこれについて一つ準備をしておこうという方もおられるのではと思います。もし、その時、自分が不治の病を抱えていたらどうでしょうか。医療の発達した今、いくつかの国では患者の生命の自己決定権について積極的に議論が行われています。一方、ドイツにおける安楽死は、ナチスの優生思想による障碍者虐殺の歴史もあって、非常に慎重な姿勢を取っていると言われています。
今回のカルチャーカフェでは、一種タブー視されているこのデリケートな問題に焦点を当てていきたいと思います。ご一緒に、自分ごととしても、この問題を考えていきませんか。講師は、小林真紀さん。日本からオンラインでご登場です。また、ベルギー在住のジャーナリストで、安楽死についても多数執筆している栗田路子さんにも、現場の感じを伝えていただきます。下記の申し込み要領によって、どうぞご参加ください。
10月30日(土)13:00 (ドイツ時間) 20:00 (日本時間)開始。 Zoomにて開催いたします。
講師: 小林 真紀 (愛知大学法学部教授)
1993年上智大学法学部国際関係法学科卒業。2000年上智大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。2002年愛知大学法学部専任講師、以後、准教授をへて2014年より現職。専門は、フランス法、比較法、生命倫理法(とくに、近年は、フランス、ベルギー、ルクセンブルクにおける終末期医療関係法の比較研究をおこなっている)
テーマ: 「生命倫理 について考える ― ベルギー安楽死法を通して―」
最近、安楽死に関わるニュースが増えています。日本でも、2019年に、京都在住のALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者が、SNSで知り合った医師に安楽死を依頼していたことが報道され物議を呼びましたが、日本では安楽死にまつわる議論も法整備もなされておらず、これは安楽死の名による殺人行為に他なりません。
他方で、ベネルクス3国他、スイスやアメリカのいくつかの州では、安楽死は法律で認められていますが、厳密にはそれぞれが認めている内容は微妙に異なります。こうした国々で、安楽死の実施件数の増加とともに明らかになってきたのが、当初想定していなかったケースの出現です。たとえばベルギーでは、あるトランスジェンダーの方が、性転換手術を受けたものの術後の状態に満足できず精神的な苦痛を訴えて安楽死しました。このように、安楽死を法律で認めると、グレーゾーンと呼ばれる微妙な事案にどう対処するか、という問題にどうしてもぶつかってしまいます。なかでも難しいのが、精神疾患あるいは認知症患者の安楽死の問題です。ベルギーでは、安楽死が認められる要件のなかに「死が迫っていること」が入っていないため、精神疾患の患者や認知症の患者も安楽死の対象となります。
一方、こうした患者については、判断能力の問題などから、安楽死を認めるべきではないという批判もあります。実際に、ベルギーでは、認知症がまだ軽い時期に「将来、認知症が進んだら安楽死させてほしい」という事前の指示書を書いていた人に対して、実際に認知症が進行した時点で安楽死を認めるべきか、議論がなされています。今回は、こうした精神疾患や認知症の患者の安楽死のケースを通じて、安楽死が抱える問題について考えてみたいと思います。
お申し込み方法:
10月26日(火)までに、culturecafefuchs[at]gmail.comあてお申し込みください。
参加者には、Zoomの招待リンクをお送りいたします。定員がありますので、お申込みはどうぞお早めに。
お願い:
カルチャーカフェご参加は無料ですが、よろしければ、主催者が活動しているNPO、ひゅうまねっとe.V.にご寄付をいただければ幸いです。収益はベナンの学校建設に使われます。寄付先はこちら:https://humanet1986.org/JP/kihu/
お問い合わせ先:
culturecafefuchs[at]gmail.com Tel +49 173 51 45 476
(メールアドレスの[at]は@に置きかえてください)
文責 フックス真理子(1975文史)
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