社会福祉学科同窓会セミナー開催報告
2017年12月13日
11月18日（土）、2号館409教室において、学科と同窓会の共催によるセミナーが開催されました。卒業生、現職教員に加え、松本榮二名誉教授（1967年～1998年在籍）、春見靜子名誉教授（1968～2003年在籍）もご出席くださり、60名を超える参加者が集いました。
今回は、各界で活躍する学科卒業生の声を集めて8月に出版された書籍「福祉が世界を変えてゆく～社会の課題に取り組む現場の声～」を題材に、「いま上智の、福祉の、魅力を語る」と題してシンポジウムを行いました。
開会挨拶では奥田晃久同窓会会長（1980年卒）より「お帰りなさい。ここから幸せと元気を持ち帰って」と同窓生が温かく迎えられました。
社会福祉学科長・岡知史教授によるオープニング・レクチャーでは、「ソーシャルワークの理論と実践の中で直面する多くの困難に向き合おうとすると、魂の問題となる。これらは宗教的基盤がないと取り扱えないと気づき、上智で研究生活を続けてきた。」と語られました。また、当事者研究の中で、行政や制度、周囲の環境を動かし現実を変えていく、無名の「奇跡の人」に出会ってきたことも語られ、長く研究と実践に関わって来られた先生のお話に、参加者は聴き入っていました。
続いて、伊藤冨士江教授がコーディネーターとなり、書籍執筆者の中から3名の発表がありました。社会学科社会福祉学専攻第1期生の天野聖子さん（1972年卒）は精神病院での勤務を経て精神障害者のための共同作業所を設立。就労移行支援事業所へも事業を広げ、精神障害者の生活・就労支援の先駆者として道を切り開いてこられた経験と、現在は後進の育成にも力を注いでいることを語られました。亀井Thiessen祥子さん（1984年卒）は教育関連出版会社での勤務を経てアメリカへ渡り大学院を卒業、カナダへも活躍の場を広げ州政府に属して家族・地域援助に当たり、今後は先住民への支援を専門的に行っていくと語られました。片岡亮太さん（2007年卒）は視覚障害者であり社会福祉士資格を有する和太鼓奏者・パーカッショニストとして国内外で活躍中。卒業後、障害者リーダー育成海外研修で渡米し大学院で障害学を専攻。現在は視覚特別支援学校音楽講師も勤めながら、10歳での失明体験と視覚障害当事者としての経験を交えた講演も行っており、音楽を通してメッセージを伝えることが自分流の福祉の実践であると語られました。お三方とも入試の際や在学中のエピソードも交えて今までの歩みと今後の展望をお話しくださり、会場は同窓会ならではの温かい雰囲気に包まれました。
伊藤教授のコメントや質疑応答からも多くの気づきを頂きました。
松本・春見両名誉教授からは、福祉の理論と実践を支え潤いを与える宗教性の重要さ、そしてそれを基盤とする「上智の社会福祉」の意義、また学科同窓会への熱い期待が語られました。
各世代に亘る発表と先生方のメッセージから、脈々と伝わる上智社会福祉の精神を改めて学び、原点に立ち返りつつこれから目指す方向を考える、有意義なセミナーとなりました。
最後に、加藤伸一同窓会副会長（1982年卒）の閉会挨拶で終了しました。
その後5号館教職員食堂へ場を移し行われた交流茶話会にも多くの参加がありました。シンポジストの一人片岡亮太さんが、持参されたジャンベ・鈴に独特の歌声ホーミーを重ねて演奏してくださり、皆も掛け声や手拍子で参加。情感あふれる演奏に感銘を受けました。参加者同士の交流から今後に繋がる出会いも生まれ、幸せと元気と勇気をもらえた1日でした。
学科同窓会では、今後も、春のASF（次回は2018年5月27日）での会員大会・交流会、秋のセミナーの開催を予定しています。会員同士や教職員との交流を通して、社会福祉学科、引いては日本と世界の社会福祉の更なる発展に貢献できることを目指して活動してまいります。 多くの同窓生の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
上智大学社会福祉学科同窓会役員一同
シンポジウム
松本先生・春見先生・伊藤先生・シンポジスト3名・奥田同窓会会長
片岡亮太さんによるジャンベ演奏
交流茶話会
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