HOME > イベント > 上智大学・上智大学ソフィア会共催講演会 メディア・ソフィア会協力 「劇団四季ミュージカルの魅力」開催報告イベント

上智大学・上智大学ソフィア会共催講演会
メディア・ソフィア会協力 「劇団四季ミュージカルの魅力」開催報告

2026年05月26日

2026年5月12日(火)、上智大学とソフィア会共催、メディア・ソフィア会(旧マスコミ・ソフィア会)協力で、四季株式会社 取締役専務執行役員の越智幸紀氏(1990経営)をお迎えし、講演会を開催しました。
世代を超えて人気のある劇団四季だけに、当日は250人を超える参加者からお申し込みをいただきました。会場には、学生も多く、若い女性の姿が目立ちました。
劇団四季はなぜこんなに人気があり、人々から愛されるのか。ミュージカルが何十年にもわたってロングランを続ける秘密は何か。講演会委員で司会の岩崎由美さんがその謎に迫ります。

〈大劇団への飛躍を支えた3つの理念〉
高校、大学の在学中も演劇活動を続け、当時観た劇団四季のミュージカル『夢から醒めた夢』に感動した越智さんは「演劇で人を感動させ、喜んでもらう、こんな素晴らしい仕事があるんだ」と、劇団四季に入団。今では営業と社会貢献事業に奔走し、経営面を支えています。
冒頭、『ライオンキング』の映像で一挙にミュージカルの舞台へ私たちを誘った後、越智さんは「劇団四季はどういうところか」を語り始めます。

現在は、俳優700人、技術スタッフ550人、経営スタッフ450人、総勢約1700人の大規模な組織で、全国に7か所の専用劇場を持ち、年間約3,000回の公演を行い、年間300万人の観客を集めています。
その驚異的な活動の源にあるのは、次の3つの理念です。
1、「演劇の市民社会への復権」―感動し、楽しんでもらう演劇を
2、「舞台からの収入で経済的に自立すること」
3、「文化の東京一極集中是正」―全国の人に演劇の感動に触れる機会を
そこから、劇団四季ならではの特徴も生まれます。
スターに頼らず作品そのものの魅力を興行の芯にする作品主義。
作品の世界観を正確に表現できる俳優教育。
言葉の明晰さを身につける四季独自のメソッド「母音法」。
児童を無料招待する社会貢献活動「こころの劇場」。

劇団四季というと華やかな海外ミュージカルの舞台をイメージしがちですが、越智さんは意外なことに「それは世を偲ぶ仮の姿。劇団四季は収益より理念を尊重し、演劇の発展のために運動を進める演劇運動体」と言います。

〈ロングランは環境づくり、作品主義、全国公演から〉
1953年創立当初、劇団四季は浅利慶太氏ら10人の学生劇団からスタート。初めはフランスの劇作家、ジャン・ジロドゥやアヌイなどの作品のストレートプレイ公演が中心でしたが、10年後、初めてミュージカルを手がけます。ファミリーミュージカルの創作、1960年代にはブロードウェイミュージカル『ウエストサイド・ストーリー』など。1983年には『キャッツ』のテント公演で大成功、1995年にはディズニーと提携し『ライオンキング』などで日本の演劇界に革新を促し、裾野を一気に拡大します。
27年間という日本の演劇史上、最長のロングラン記録を誇る『ライオンキング』をはじめ、劇団四季は次々とロングラン公演を行っています。
なぜそれが可能なのか?それはすべて四季の理念がもたらしたものです。すなわち、
1、環境づくり―専用劇場を作ってきたこと
2、作品主義―キャストに左右されない感動的な作品を上演
3、全国で公演―修学旅行を始めとするツーリストマーケットの拡大

〈人々との交流には舞台に負けない感動がある〉
全ての人に舞台の感動を届けたい、その思いから奔走している越智さんですが、逆に感動することも多いと言います。

▶︎2011年東日本大震災の後、福島県に赴いた越智さんは、ほとんどの学校が修学旅行を中止する中、「来年は必ず修学旅行で生徒に『ライオンキング』を見せたい」という先生に会います。主人公シンパが王国を追われて故郷を離れ、成長して自分の故郷に帰ってくる。いまの福島の子供たちにはどうしてもこの物語を観せたいんです」。
▶︎小学生の無料招待公演「こころの劇場」を越智さんの故郷、四国の今治市で開催したいと劇場を探しますが、搬入が難しく上演を諦めた数か月後、市の教育長から、四季のトラックが通れるよう道路を拡張したという電話に思わず落涙したそうです。
▶︎市との折衝に難航した京都公演の2年後、京都の子供たちが市の補助金で芸術文化にふれる機会を提供する新制度が立ち上げられたというエピソード。
▶︎コロナ禍の時、運営資金を確保するためクラウドファンディングを呼びかけると、利尻島の町長から寄付金の申し出があり「しばらくは行けないかもしれない」と固辞したところ、「四季のおかげでミュージカルを見る楽しさを知ったんです。私たちはその恩恵を受けるばかりで、そのお礼ができていません」と言われたこと。

劇団四季で働いているスタッフが、お客様に喜んでいただいた話もいくつか紹介されました。
心を閉ざしていた友人をミュージカルに誘ったら、それがきっかけで立ち直った話。亡くなった息子さんが注文していたチケットをご夫婦に届けて「息子を改めて理解でき、ミュージカルの楽しさも初めて知った」と感謝された話。盲導犬を連れて観劇できるようにしたら、観劇の勇気を貰ったと感謝される話など枚挙にいとまがありません。

舞台は、「人生は素晴らしい。生きるに値する」ものであることを教えてくれる。越智さんは、そう言って講演を締め括りました。


※メディア・ソフィア会(旧マスコミ・ソフィア会)が本年1月に開催した新春講演会「これからの劇団四季」の報告も併せてご覧ください。
詳細はこちらから

文責 メディア・ソフィア会 文化事業委員長
手島真理子(1973文仏)