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「空気をかえよう」開催報告イベント

上智大学・上智大学ソフィア会共催講演会
経営者に聴く
エステー株式会社代表執行役社長鈴木貴子さん
「空気をかえよう」開催報告

2022年08月23日

 共催講演会、経営者に聴くシリーズは、「消臭力」や「ムシューダ」でおなじみのエステー株式会社(売上高約454億円、連結従業員数約953名、プライム市場 2022年3月期)の鈴木貴子社長にお越しいただきました。
 外国語学部イスパニア語学科卒業後、日産自動車を経てLVMHグループなどラグジュアリーブランドのマーケティング&ブランディングでキャリアを積み、2009年、叔父の鈴木喬社長(当時)に「デザイン革命をやりたい」と乞われて1年後に入社。2013年に社長に就任し10期目を迎えています。


 エステーは「グローバルニッチNo1」になることを標榜し、防虫剤、除湿剤、お米の虫よけ、冷蔵庫の脱臭剤は市場でトップシェアを誇ると同時に、常に社会課題を解決する新市場を創造しています。今回の講演会では、「経営改革の軌跡」「ブランド価値経営で利益回復」「持続的成長に向けて」という3つの柱でお話しいただきました。
 鈴木社長、売上が伸び悩んでいた時期に就任したため、まずは収益の構造改革に着手。ブランド価値経営にシフトしました。せっかくのブランドがおろそかにされていたので、整理して絞り込み、消臭ブランドは「消臭力」、芳香ブランドは「シャルダン」にしました。次にブランド価値を向上させるために、香りの質を向上させ、パッケージデザインを主要顧客である女性に好まれるものに変更。そしてブランドのプレミアム化をはかり、プレミアムラインを作りました。さらに、いまある資産を活用して新ブランド「洗浄力」を誕生させました。また、皆様ご存じの、記憶に残るCMを打ち出し、ユニークなブランド人格を創り続けています。
 このほか、今後の成長戦略や企業向けの製品、かおりの研究機関があること、森林の資源保護に関しても積極的に取り組んでいらっしゃることなど、多岐にわたってお話しいただきました。
 価格競争から価値競争へチェンジさせ、情緒的価値を付加した製品群は、とても魅力的です。心に残ったのは、「ブランドは資産をためる器だ」という言葉です。ブランドというのは、時間をかけて価値を積み重ねて形成されていくものだということを知りました。
 また「経済界は軍事用語でできている。競合他社と戦わなくても、顧客に愛され、価値を作ることでお客様に喜んでいただけるのではないか。そうすれば女性も社長を目指したいと思えるかもしれない」というお話にも、とても共感しました。私自身、「社長というのは戦うものだ」と思い込んでいましたが、いま、時代は大きく変化しています。鈴木社長のように自分の頭でとことん考え、信念を語り続け、しなやかに実行していく。そうした経営者が増えれば、少しは社会が柔軟になるかもしれませんね。

動画は、大学公式YouTubeチャンネルからご覧ください。

https://youtu.be/IASGumW6kZw

事業企画委員会
岩崎由美(1980文国)