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【アーカイブ映像リリース】イベント

開催報告
「希望と、感謝と、生きる喜びと」
カリー先生トークショー
【アーカイブ映像リリース】

2021年07月21日

2021年4月22日(木) オンライントークショー「カリー先生、登場」を開催しました。

上智大学とソフィア会の共催で開催する「恩師に学ぶシリーズ」の講演会、今回は上智大学名誉教授・元学長のウィリアム・カリー先生にご登場いただきました。カリー先生は、学生寮の舎監を23年、聖歌隊の指揮者を25年、学長を6年されるなど上智大学に深くかかわってこられました。

まずは上智学院佐久間勉理事長、上智大学ソフィア会鳥居正男会長のご挨拶があり、その後、カリー先生秘蔵のご両親、ご家族との写真を見せていただきながらお話が始まりました。
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<生徒から学び、生徒と一緒に歩む>
1935年にフィラデルフィアで生まれ、両親から「希望を持つこと、神に感謝すること、生きる喜び」を学びました。4人兄弟の末っ子で甘えん坊でした。イエズス会経営の高校に通い、そこで出会った素晴らしい先生方のようになりたくて卒業する53年にイエズス会に入会。大学卒業後は外国で働きたいと考え、日本に縁があって60年に来日して写真の代わりにたくさんのスケッチを描いて両親に送りました。

最初に、栄光学園で英語を教えたときは、生徒が熱心で教えるのが楽しく、生徒から学び、生徒と一緒に歩みました。その後、上智大学神学部に通い67年に叙階し司祭になって、博士号をとるために渡米しました。そのときに、アメリカと日本の比較文学を専攻することを決めました。
上智大学で72年から文学部英文学科で教鞭をとり2005年の定年退職まで33年間、数えきれない良い思い出があり、幸せな生涯でした。
学生寮の舎監や、聖歌隊の指揮者、いくつもの英会話グループを開き、市ヶ谷キャンパスの当時の国際部で日本文学を教えるようになってそれが発展して、のちに独立した学部(比較文化学部。現在の国際教養学部)になり、学部長に就任しました。ひとつの学部を創設するにあたって、2年間、毎週のように文部省(現・文科省)に通い、日本の官僚制についてとても勉強になりました。当時日本の大学で、4年間すべての授業を英語でおこなうというのは、画期的だったのです。

<執り行った結婚式は739組>
司祭としてクルトウルハイム聖堂で執り行った卒業生の結婚式は739組。披露宴での弾き語りを頼まれることも多かったです。
上智大学の特徴の一つとして、有名人がキャンパスで話をしてくれることもあげられます。
私の博士論文が阿部公房の小説だったこともあり、何度も阿部公房に会って話し親しくなり、大学で講演をしてくれた時のことや、マザー・テレサの通訳をさせていただいたこと、教皇ヨハネパウロ2世、黒澤明監督、ダライ・ラマ4世、小澤征爾、名ピアニストのランランも学校にきて演奏してくれました。
学長になって知り合ったビル・クリントンも講演会をしてくれる予定でしたが病気でかないませんでした。教皇フランシスコにお立ち寄りいただいたときは、朝のミサでオルガンを弾かせていただき一生涯忘れられない一日となりました。
99年から2005年まで第12代学長、および上智学院理事を務め、責任が重く激務でしたが、立派な教職員の協力を得て無事に終えました。2011年、日本の私学教育に貢献したことによって外国人叙勲(瑞宝重光章)を受章し、皇居前の広場で写真を撮っていただきました。

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<卒業生からのメッセージ>
中学一年生の時に栄光学園で教わった宮崎尊さん。授業での思い出話と、それから英語が好きになって上智大学で外国語学部英語学科に入り、英語を仕事にしたことなどを話されました。現在、東進ハイスクールのカリスマ講師としてご活躍です。

機械工学部ご卒業の深田優さんはラグビー部の顧問だった先生とご一緒されました。練習後に先生の部屋で英会話教室を開いてもらったことや、先生の弾き語りを聴きにつれて行ってもらいました。皆からのプレゼントの腕時計は、今でも先生の腕で時を刻んでいます。

イスパニア語学科ご卒業で学生寮にいらした中山映さんは、学生寮での暮らしや地方から出てきた自分たちにとって家族のような存在だったこと、卒業後も親しくお付き合いいただき先生は羅針盤のような存在だと話されました。

比較文化学科ご卒業で女優・タレントの西田ひかるさんは市ヶ谷キャンパスでの思い出です。学生のころから仕事が忙しかったけれど、休まず熱心に授業を受けていたと先生も思い出深そうです。残念ながら西田さんはアーカイヴでは配信できませんのでご了承ください。

法学部ご卒業で聖歌隊の宇賀田雅人さんは、40年前に学生寮の周年行事で寮歌の募集があり採用されました。それが今も歌い継がれる「四谷有情(うじょう)」です。先生が歌い育ててくださって、今も先生の周りの方たちによって歌われています。

最後に上智聖歌隊OB・OG会の皆様と一緒に、先生の弾き語り「You've Got a Friend」「That's What Friends Are For」「四谷有情」の3曲お届けしました。

先生は音楽に包まれ、音楽と共に過ごしてこられ、学生たちを導いてくださったのだという思いを強くしました。カリー先生、いつも変わらぬ温かいまなざしを、ありがとうございます。

(文責 岩崎由美)