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鎌倉ソフィア会新年会開催報告

2012年04月24日

遅くなりましたが、鎌倉ソフィア会新年会についてご報告いたします。2012年2月4日(土)午後、風なく晴天。由比ヶ浜通りの「ジャックと豆の木」に41名のソフィアンとその家族が集いました。卒年は1953年から2007年まで55年に及び、学部学科を横断し多彩な顔ぶれが鎌倉のみならず横須賀、千葉、東京からも参集し旧交を温め、また思わぬ出会いを楽しみました。このような機会を持てるのは地域ソフィア会ならではの良さでしょう。「ジャックと豆の木」は精神障害のある人々の社会的自立を支援するNPOが運営するギャラリー兼カフェで、ソフィアンの中村千惠子さん(文社福1969年卒)がNPO代表を務めていらっしゃいます。この日のためにおいしい軽食を用意していただきました。

さて、新年会は2部構成で前半は対談会、後半は立食パーティーという趣向でした。ここでは対談会の様子をお伝えいたします。来年の母校百年祭に寄せて「上智今昔物語~初めての女子学生の見た上智」というテーマで鎌倉ソフィア会の遠藤貴久子さん(法法1963年~外仏1965年卒)と土村美保子さん(外英1963年卒)のお二人に語っていただきました。上智大学は1913年(大正2年)創立以来男子校でしたが、1957年(昭和32年)に初めて女子の入学が認められました。遠藤さんと土村さんは1959年(昭和34年)のご入学です。上智女子学生のパイオニアです。

対談会は遠藤さんと土村さんに提供いただいた当時の写真(もちろんモノクローム)をスクリーンに映しつつ、談話を展開するかたちで進みました。まず出てきたのは「カマボコハウス」です。カマボコハウスと聞いて、すぐ思い出される方と全然ピンと来ない方がいらっしゃるでしょう。カマボコハウスは戦後進駐軍が各地でさかんに建てた蒲鉾型プレハブ兵舎を指すことばです。筆者はこのことばを聞いたことはありますが、上智の敷地内に幾棟も建ち並び、その中で授業が行われていたことは今回初めて知りました。大学は進駐軍から払い下げのカマボコハウスを使って教室の代用にしていたのです。この時代の首都に敗戦の影はなおも残っていたのでしょう。それにしても1959年には新幹線の工事が始まり、64年にはアジアで初の東京オリンピックが開かれています。女子学生の入学は時代の節目と重なっていたのですね。

お二人のお話で共通して印象深いのは有島暁子先生のことでした。有島先生は学科の教師ではなく、女子学生の生活面の指南役として大学に招かれた方でした。女子学生を迎えるにあたり、大学は女子学生のために特別な計らいをしてくれたのです。「有島先生は行儀作法や立居振舞について教えてくださった。しかし、お行儀よくしていればよいというだけの考え方はなさっていなかった。もっと骨太な方でした」と遠藤さん。遠藤さんも土村さんも上智で有島先生から受けた影響は大学を出た後の人生に大きな意味を持ったと語られました。お二人のお話から有島先生の教えを三つに絞ってご紹介いたします。「自分の色を持ちなさい(身につけるものについて)」「どんなところにも行ってみなさい」「どんな人にも会いなさい(自分にはとても無理かと思うような高名な人を含めて)」

有島先生は鎌倉の稲村ヶ崎にお住まいで、卒業後も気軽にお宅に招いてくださり、先生とお二人の交流は長く続いたそうです。「先生のお母様(画家、有島生馬の奥様)がご高齢で介護が必要になった時、先生はお母様を我が子のように大切にお世話をされた。ママってかわいいとよくおっしゃっていた。後に私が母を看なければならなくなった時、在りし日の有島先生の姿を思い出し、私も先生を見習いたいと思い、そういたしました」と土村さん。

当時「大島館」と呼ばれる風雅な洋館が現在の体育館の辺りにありました。有島先生のお部屋は大島館にあり、大島館の木肌の螺旋階段を上がれば先生に会えました。対談会の後半、大島館ゆかりの大島家ご親族の斎藤誠子さん(法法1967年卒)が壇上に上がり、館が大島久直子爵邸として1910年(明治43年)に建立された背景と、その2年後に上智大学の熱い求めに応じ売却されたいきさつについて語ってくださいました。

土村さんは信濃町の明泉寮のこともお話になりました。元犬養毅首相の私邸を上智大学が買い上げて女子学生のための寮を整えました。同じ頃カマボコハウスでの授業を余儀なくされていた事情を考えると、大学が女子学生にいかに細心の準備をしてくれたか、あらためて知る思いです。筆者は元寮生としても感慨深いものがあります。和洋折衷の美しく立派な建物でした。同じ屋根の下で学生と共に暮らしてくださったシスターたちから学んだことは人生を歩むほどにしんしんと深くなるのを感じます。

ところで、会場からちょっと意外な発言もありました。「男子だけのときの上智もよかったねぇ!」もちろん男子校時代のソフィアンからです。周囲からほほぉと声が上がりました。また、遠藤さんはこんなエピソードも披露してくださいました。女子の入学について、男子校の流れを変えるといぶかる声もあり教授陣の中では様々な議論がなされたそうですが、ある神父が「女子学生から話しかけられたい。それには音楽か?」とサキソフォンの練習を始められたそうです。可笑しくも温かい話です。

初めての女子学生たちは背筋を伸ばしてのびのびとキャンパスを歩いたことでしょう。現在の遠藤さん、土村さんの生き生きとした姿に50年前の女子学生パイオニアの意気を感じます。

ソフィア会の下記ウェブサイトも参考にさせていただきました。

鎌倉ソフィア会 事務局 関美江子(外仏1977年卒)

対談会の写真
(右手前が土村美保子さん、その隣が遠藤貴久子さん、真ん中男性の後ろが斎藤誠子さんです)

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