上智今昔物語
というと大げさですが、1990年に卒業後の上智大学について、以下まとめてみましたのでご覧ください。
「ラウンジ」といえば我々にとっては2号館ラウンジでしたが、現在の学生にとって「ラウンジ」は卒業後に増設された11号館の建物にあるラウンジにほか
なりません。旧2号館ラウンジと違ってメニューも多彩で、男子学生も大勢います!2005年4月に新2号館が完成しますが、旧2号館の跡地にはしばらく駐
車場があったため、駐車場を壊して新2号館にしたと思っている学生
も。卒業後は11号館のほかに紀尾井坂ビル(12号館)もでき、10号館(講堂)とホフマンホールの近辺はビルの入り口だらけになってしまいました。智恵
子でなくても、東京には空がない、と嘆いてしまいそうです。
体育の時間は学科ごとに割り当てられた科目でしたが、我々が卒業してまもなく、選択必修制に移行しました。うらやましいですね。我々もやりたいものを選
べていたらもっと真剣にやっ
ていたのに、と思ってしまいます。自分がやりたい体育を自由に選べる!なんてめぐまれた学習環境でしょう。
さらに学生は評価されるだけでなく、授業を評価するようにもなりました。それだけ学ぶ姿勢が問われるともいえます。その科目をとったことによって、うた
い文句
(科目の目的)どおりに身についたかどうかを自分で考えなければならないからです。学習の主体はあくまでも学生であり、教員はその手助けをする、というこ
とでしょう。留学経験のある方にはおなじみの表現だと思いますが、学生と教員の比率(student-teacher
ratio)が20:1になったそうです。この数字が少ないほうが(15:1など)「面倒見のよい大学」ということになります。よりいっそう「教育」に力
を入れていくという姿勢のあらわれではないでしょうか。
入学時にはPC利用のためのユーザーアカウントが配布されるようになりました。在学中は有効で、更新する必要はありません。在学中に端末室等にいりび
たっていた方にとってはなんとも嬉しい知らせではないでしょうか。電算機センターにアカウントの申請をしなければならず、しかも有効期限はその年度の終わ
りまで。続けて使いたい場合は新年度にまた申請をしなければなりませんでした。PCは一部の人が使うものという程度の認識だったように思います。
1997年、法学部に地球環境法学科が増設されました。自然保護・野生動物保護をとりまく法的な環境整備、環境破壊を食い止め、その被害を救済するには
など、環境問題
を法学的見地からとらえた日本で初めての学科です。環境にかかわる法律だけでなく、憲法や民法など、法律の基礎ももちろん学びます。発展途上国から積極的
に学生を
受け入れており、ここで学んだ学生は日本人、外国人を問わず、21世紀の国際的な環境保護ネットワーク構築に貢献することでしょう。2005
年4月には大学院(地球環境大学院)が開設され、環境行政や環境政策にたずさわる社会人にも門戸を開いています。
1999年にカ
リー先生が学長に就任されてから、評価の方法が変わりま
した。それまでA、B、Cの3段階だったものが、海
外の大学や大学院で採用されている、
A、B、C、Dの4段階に変わりました。交換留学制度が充実している上智大学ならではといえるかもしれません。比較文化学部出身の先輩が「四ツ谷の評価は
甘
い」とこぼしていましたが、それも厳しくなり、以前のように80パーセントではAが取れなくなりました。以前ならオールAの成績でも、80パーセントぎり
ぎりのAだったら、今ならオールCになってしまいます。今の学生にとって大学はもはや「レジャーランド」ではないようです。
2001年次生より、情報リテラシー演習が全学必修科目として加わりました。学科指定のないクラスでは主に学内のパソコンの使い方などを学びます。全学
生がユーザーアカウントをもっているからこそできることですね。学科指定のあるクラスでは、その学科で必要とされるスキルを身につけます。たとえば新聞学
科では、1年次の必修科目として履修、取材をして記事が書けるようになるのが目標ということです。カリキュラムの作成・運営は、我々の卒業後に新設された
情報科学教育研究センターが行なっています。
一般外国語教育でも、大きな変化がありました。能力別にクラス分けを行なうようになったのです。講師が日本人であっても、外国語を使うように
していくそうです。そのカリキュラム作成および運営を行なうのが、一
般外国語教育センター。
一般外国語科目では、よりいっそうグローバル化が進
む社会において活躍できるように、基礎的な外国語運用能力をつけるのが目的です。また言葉だけでなくその背景にある文化や社会的習慣などもカリキュラムに
とり入れています。
巷で話題の「法科大学院」、もちろん上智大学にもあります。環境問題を法学的にとらえる地球環境法学科での蓄積もあり、環境法のスペシャリストを育成す
る
のがひとつの大きな目的です。エクスターンシップ(法律事務所での実務研修)を行なったり、法律相談室を設けて実際に相談に応じるなど、即戦力となる法律
家の育成を目指しています。社会人にも門戸を開いており、初年度(2004度)の合格実績では、法学部出身ではない方もかなり多かったそうです。
2005年4月、石澤先生が新たに学長に就任されます。カリー先生のもと、国内だけでなく国際的な評価を高めるための改革を行なってきた上智大
学。アンコールワット遺跡の保存でも活躍されている石澤先生をトップに戴き、さらに国際的な発展を遂げていくことでしょう。
同じく2005年4月、新しい学部が誕生します。上智大学が主たる目的として掲げる全人教育をさらに推し進める、ヒューマンディグニティ(人間の尊
厳)の考えにもとづいた総合人間科学部です。実はこの学部、教育・心理・社会・社会福祉の4学科がベースになったもの。4月1日付けで上記4学科は文学部
から分離され、総合人間科学部として新たなスタートを切ります。ひ
とりひとりの人間を尊重する精神をもち、社会の中で支援を必要とする人々のために貢献できる、そういう人材の育成を目標としているそうです。
千代田区のポイ捨て条例、健康増進法の施行など、愛煙家にとっては肩身が狭くなる法整備が進んでいます。以前から環境問題に関心の高かった上智大学で
も、喫煙は8号館ピ
ロティ、9号館ピロティなど、指
定された場所でしかできなくなりました。門を入ってまず目に入るのが、その旨を記した立て看板。そしてメンストを歩いていて気づくのが、ごみや吸殻の少な
さです。春休み中ということもあるかもしれませんが、植え込みの中にも路上にも、まったくと言っていいほどごみがありません!割れたガラス理論ではあり
ませんが、きれいなところを汚すのは心理的な抵抗を感じますよね。
皆さんにもなじみの深い上智の学寮が閉鎖になります。上智会館が取り壊されるためですが、跡地には理工学部棟が建設される予定になっています。創立
100周年を迎えるにあたって行なわれる記念事業のひとつなのですが、現在理工学部では産学共同プロジェクトも多数進行中。今後さらに幅広い連携を進める
ための布石といえるかもしれません。ちなみに男子学生のための宿泊施設、「枝川寮」が江東区の枝川に建設され、すでに学生を受け入れています。(2005
年3月竣工)
比較文化学部も、2006年4月に国際教養学部として生まれ変わります。(設置計画中)2013年には創立100周年を迎える上智大学。我々が銀祝を迎
えるのはその2年後です。次に訪れる時には、キャンパスはさらに
様変わりしていることでしょう。
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