SOPHIANS NOW No.177 Spring 2015
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Sophians Now 2004年、ヨゼフ・ピタウ先生は24年ぶりにバチカンから日本に帰ってこられました。そして翌2005年10月に開催した「ピタウ大司教の喜寿を祝う会」をきっかけにピタウ先生の定期講演をという声が寄せられ、「ピタウ先生が語る会」が月例ソフィア会行事としてソフィアンズクラブで始まりました。2006年1月のことです。それから、ピタウ先生が帰天される2014年12月まで、会は90回続きました。 毎回お話のテーマがありましたが、先生の強調されたのは「弱い立場の人や困っている人に手を差し伸べよ」でした。ピタウ先生がロヨラハウスへ移られてからは体調の波がありましたが、集まった卒業生たちを前にすると次第に元気になられ「上智大学万歳!」とピタウスマイルで一人一人と握手して再会を喜ばれました。 「ピタウ先生が語る会」は、ピタウ先生の精神を受け継いで「ピタウ先生を語る会」(ソフィア会登録団体)に名称を改め、活動を継続しています。 その第一回を、2月14日にドナル・ドイル神父様をゲストスピーカーに開催しました。 3月6日から10日まで開催された「長崎の教会群とキリスト教関連遺産巡り」と「長崎県・上智大学連携シンポジウム」へのツアーには、卒業生、教職員、学生など70名が参加しました。浦上天主堂から始まった同ツアーは、原爆の惨状、キリシタン弾圧に思いを馳せながら、長崎と五島列島の多彩な教会を巡礼するものでした。 そのひとつ、仲知教会の彩り美しいステンドグラスには聖書の物語が表現されるとともに、教会修復時の大司教や主任司祭、地元の漁師さんの顔も組み込まれ、信仰が生活の一部であることが伝わりました。9日朝には国宝大浦天主堂で、髙祖敏明理事長、山岡三治理事、ホアン・アイダルカトリックセンター長、ドナル・ドイルソフィア会副会長など8人の司祭の共同司式によるミサが立てられ、世界平和と上智大学のさらなる発展を祈念。ミサの終わりには上智大学校歌が力強く天主堂に響きました。 また、今年は大浦天主堂での信徒発見から150周年を迎え、盛大な祝賀行事が行われる中、9日午後には長崎県と上智大学連携シンポジウム「長崎のキリスト教 伝統と未来」が行われました。ツアーの参加者を含め、長崎をはじめ全国から300名が出席。文学部史学科の川村信三教授、日本二十六聖人記念館館長のルカ・デ・レンゾ神父、世界遺産候補事務局長の柿森和年氏、長崎純心大学学長の片岡瑠美子シスターが、250年もの間カクレキリシタンが、教会がなく神父がいない中で信仰を守ってきた理由を考察。現代の信仰を顧みて未来へつなぐ研究を発表、続くパネルディスカッションに聴衆は熱心に聴き入りました。 10日には長崎・外海地区を巡礼。遠藤周作文学館や出津教会を訪ね、遠藤周作の研究者でもある片山はるひ神学部教授の解説を聴きながら、カクレキリシタンに心を寄せていた作家の創作の源を探りました。「ピタウ先生が語る会」から「ピタウ先生を語る会」へ「ピタウ先生が語る会」から「ピタウ先生を語る会」へ 長崎県と上智大学連携のシンポジウムでは、日本におけるキリスト教の歴史と上智大学のルーツを学ぶものでした。巡礼旅行で回った長崎の、近い将来世界遺産に指定される教会の数々は、建築様式の素晴らしさはもちろんのこと、弾圧の長い歴史とそれをめぐる人々の祈りによって築かれたものなのです。 1549年のフランシスコ・ザビエルのキリスト教伝来のあと、長崎は「小ローマ」と呼ばれるほどキリスト教文化が栄えました。しかし、1587年に豊臣秀吉による伴天連追放令が、そして1615年に江戸幕府による禁教令が発布され、1644年に最後の神父が殉教した後キリシタン達は250年もの間、深く地下に潜ることを強いられました。 幕末動乱期に鎖国から開国へと時代が移り、1859年長崎港や横浜港が開港し外国人居留地ができました。大浦天主堂が建設され、献堂式が行なわれた1ヶ月後の1865年3月17日、大浦天主堂のフランス人プティジャン神父を訪れた数人の日本人はキリスト教信仰を告白。迫害の歴史の中で250年間潜伏しながら、もう存在しないと思われていた日本の信徒の発見は「信徒発見の奇跡」として世界中を驚かせることとなりました。今年は、その信徒発見から150年目に当たります。 しかし、その後も明治政府の禁教政策による激しい弾圧は1873年の禁教令廃止まで続きました。それまで小さな子供から大人まで、イエズス会神父も含めてどれだけの尊い命が天に召されたことか。蒔かれた種は地中深く根を張り、そして信徒発見の奇跡から50年を経て、その種のひとつは上智大学という芽となり花を咲かせて今日に至ることになったのです。信徒発見150年とはピタウ先生、ありがとうございました国宝の大浦天主堂では上智大学の先生方によるミサが行われ、開祭の曲は上智大学校歌。歌声が、天主堂に力強く響きわたりました。??国宝大浦天主堂に響き渡る上智大学校歌開催報告

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