ソフィア会ホームページリニューアルしました

ソフィア会ホームページは、2010年4月12日にリニューアルしました。
2010年度4月以降のニュースについては、新サイトをご覧ください。
http://www.sophiakai.gr.jp/

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第6回:福原庸子さん



キュレーターは、日本ではごく最近まで学芸員と呼ばれ、一般には美術館や博物館の展示企画を担当する、ひっそりとした影の存在と思われてきた。しかしその本来の役割、資質、そして見識は非常に高度なものが要求される仕事である。施設の文化的価値はキュレーターの資質にかかっているとも言える。福原庸子さん(S55外比)は、米国でキュレーターとしての専門的な訓練を受けた。そして、横浜ユーラシア文化館の新規オープンという、奇蹟のような出会いに恵まれる。英語の"Gift"には、天からの授かりもの、天賦の才能という意味があるが、横浜ユーラシア文化館の仕事は、彼女自身のGiftが今後大きく花開いていく機会ともなるようだ。

人生の方向を決めた異文化体験

 外にでると日本の文化が客観的に見えてくるというでしょう。私もそうで、高校生で留学したイギリスの高校は世界中の留学生が集まっていて、たとえばフィンランドから来た学生は、素晴らしい国だとフィンランドを自慢する。アメリカは歴史が浅いのに、歴史を大事にしているなんていう。じゃあ日本人の私はと言えば、英語で自慢できるほどの知識がない! 我ながらショックでしたね。

 余りにも知らなすぎた自分が恥ずかしく、日本の文化を勉強したいと思った。それなら歴史、文学、社会状況など、いろいろな社会背景を取り込んで厚みのある学問ができる美術史を学ぼう。私にとっての日本再発見を願ったのです。心の奥底の解決しなければならない大問題を抱えたまま帰国し、帰国子女枠で上智大学外国学部比較文化学科に入学。比較文化学科というのは、英語と日本語の両方ですべての教科を学ぶんですね。卒業後はそのまま修士に進んで、どうせなら専門の学問をしたいと、奨学金ももらえたのでハーバード大学の博士課程に進みました。 



キュレーターはプロの仕事

 キュレーターを目指した私が学んだ最も大きなものはサービス精神でしょう。専門領域の研究を極めるばかりでなく、アジアの美術史といった大きなテーマで学生にも教えなければならない。給料をいただきながら受け持つので、院生時代は学ぶことも教えることもプロとしてのトレーニングでした。さらに、大学では教授と院生を対象とした人気投票も行われて、私は1位をとって表彰状をいただいたこともあり、反響が大きくて、何百人もの学生が日本美術史を履修したいと言ってくるのです。


 付属美術館でも、キュレーターの卵向けの職業訓練を有給で受けました。資料整理、展示、そしてギャラリートークといって展示室のお客様にその面白さを解説しながら案内して回るものなど。また大学では教え方のマニュアルを出していますが、これがもう徹底して細かい。でも文字で書いてあるので、自分なりの消化が不可欠です。どこまで極めるかは、個人のプロ意識が問われますね。 サービスの質を落とすとチェックが入るのもアメリカ。自由だけれど管理社会で、「ここまでやるんだな」と思います。でも、そういう体験をしていなければ、研究室にこもりがちな人になったかもしれません。


展示物の選択、展示の仕方、説明文などの全てに福原さんは独自の工夫を凝らした。 「ディスプレイデザイナーとの格闘」から美しい、ユニークな空間が生まれた。

「極秘計画だったのですが、実は10月10日、横浜ユーラシア文化館を三笠宮崇仁両殿下がご視察になり、「見せ方」について、大変お褒めをいただきました。宮様は中近東がご専門の学者なので、社交辞令ではないのです。お呼びする計画から実行、お茶出し、ご案内まですべてやりました。先ず、自分が動かないと誰もついてこないから、それだけ大変です。でも、ほめられたのでうれしい!」



恵まれた幸運を活かして

 最近は日本の博物館や美術館でもエデュケーターも配置がされてきて、特に子供達にはドキドキする体験ができたり面白がれる機会が増えてくるでしょう。美術館で案内する時も、また授業でも大切なのは教えすぎないことです。相手の興味を引き出すためにも、これ、なんだと思いますか?と聞くとか、また学生がどんなに的はずれのことを聞いて周囲が笑っても、「いや、こんなふうに考えたら面白い、いい質問ね」と大きく受け止めることが大切です。それに文字で説明しすぎると、それ以上に調べなくなる。ですから、伝達方法や手法、内容の切り分けなど、多様な工夫が必要になり、プロであることが要求されます。


 私がこの職に就く前は、母校では仏教美術史と日本美術史、また早稲田大学で東洋美術史を教え、その前は実践女子大や母校で非常勤講師をしていました。可愛い学生に恵まれて幸せでしたが、2001年の春にこの横浜ユーラシア文化館の職員公募を知り、是非!と思いました。ゼロからの立ち上げで博物館・美術館をつくっていくチャンスはなかなかないし、またタイミングがあわないと関われない。私はものすごく恵まれたと思います。


 2003年3月に開館した、この横浜ユーラシア文化館。美しいさまざまな文化をもつ人々がつくりだす美しいものたちを、ともかくステキな展示室で楽しくお見せしたい。横浜市に横浜ユーラシア文化館があることに誇りをもってくださる方がいらして、何度も何度も来てくださる。「きれいな展示ね」、「ユーラシアを旅したみたい」。そういう励ましに応えようと、駅からの交通マップに記載をお願いしたり、ホームページも和英で対応するなど、インターナショナルスクールや外国人記者向けに広報活動を展開しています。









横浜ユーラシア文化館のホームページ

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第5回:小山満鶴さん
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第7回:鮎川ゆりかさん


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